銀行系ファクタリング会社の落とし穴。銀行ファクタリングのメリットデメリットと注意点

man
「ファクタリング会社って怪しいから、できれば銀行などの子会社が良いのですが・・・」
「銀行系のファクタリング会社の方がファクタリング手数料安いのでは?」
「銀行系ファクタリング会社のデメリットを教えてほしい。」

ファクタリングを利用するのがはじめての経営者は「銀行」という言葉に弱く、銀行系ファクタリング会社を検討している方も多いかと思います。今回は、銀行系ファクタリング会社の落とし穴。銀行ファクタリングのメリットデメリットと注意点について解説します。

銀行系ファクタリング会社とは?

文字通り、銀行の資本が入ったファクタリング会社のことを言います。

三菱UFJ銀行の100%子会社

三菱UFJファクター株式会社

みずほ銀行の100%子会社

みずほファクター株式会社

株式会社セディナ(SMFGグループ)の100%子会社

SMBCファイナンスサービス株式会社

という形で、大手都市銀行は、漏れなく「ファクタリング会社」の100%子会社を作っているのです。

man
「えっ、じゃあよくわからない無名の会社のファクタリング会社よりも、銀行系ファクタリング会社の方が良いサービスなのではないの?」

と思ってしまいますが、そうではありません。

銀行系ファクタリング会社のメリットデメリットについて解説します。

銀行系ファクタリング会社のメリット

メリットその1.信頼性が高い

当然、銀行100%出資の子会社ですから、「企業」としての信頼性は抜群です。

貸金業者の登録もしています。

三菱UFJファクター株式会社

貸金業者登録番号:関東財務局長(5)第01393号

みずほファクター株式会社

貸金業者登録番号:東京都知事(1)第31668号

SMBCファイナンスサービス株式会社

貸金業者登録番号:関東財務局長(12)第00191号

  • 従業員数も100名を超えている
  • 資本金も10億円を超えている
    ・・・

どこから見ても、信頼性の高いファクタリング会社であることは間違えないのです。

メリットその2.簡単に提供できないファクタリングサービスを扱っている

多くのファクタリング会社が提供しているファクタリングサービスは

  1. 2社間ファクタリング(買取ファクタリング)
  2. 3社間ファクタリング(買取ファクタリング)

の2つです。

買取ファクタリングというのは「売掛債権を買う」というシンプルなサービスですので、新しい会社でも参入しやすいのです。

一方で、銀行系ファクタリング会社の提供しているファクタリングサービスは

三菱UFJファクター株式会社

  • 買取ファクタリング
  • 保証ファクタリング(根保証)
  • 保証ファクタリング(下請債権保全支援事業)
  • 国際ファクタリング

みずほファクター株式会社

  • 回収保証(包括保証・個別保証)(保証ファクタリング)
  • 債権流動化(買取ファクタリング)
  • みずほ電子債権決済サービス
  • 国際ファクタリング

SMBCファイナンスサービス株式会社

  • ポートフォリオ型ファクタリング(保証ファクタリング)
  • 建設債権保証(保証ファクタリング)
  • 下請債権保全支援事業(保証ファクタリング)
  • 手形買取業務

などが提供されているのです。

国際ファクタリングとは

海外のファクタリング会社と連携して、輸出先の会社が売掛先となる売掛債権を買い取る・支払を保証するサービスです。

国際ファクタリングを提供するためには、海外のファクタリング会社・金融機関との連携が必要になります。

世界各国の銀行及びその子会社のファクタリング会社で構成されている「Factors Chain International(FCI)」というネットワークを利用して国際ファクタリングは提供されているのです。

当然、提供できるのは銀行の子会社のファクタリング会社に限られるため、ほかのファクタリング会社では国際ファクタリングを扱っていないのです。

保証ファクタリング(下請債権保全支援事業)とは

国土交通省が建設業者、材料業者などが元請けの倒産によって、連鎖倒産しないように支払いを保証する制度のことを言います。

保証ファクタリング(下請債権保全支援事業)を提供するためには

国土交通省の認可が必要になるのです。

ある程度の規模や信用がないと提供できないファクタリングサービスなのです。
保証ファクタリング(下請債権保全支援事業)ができるファクタリング会社は
  • SMBCファイナンスサービス株式会社
  • オリックス株式会社
  • 北保証サービス株式会社
  • 株式会社建設経営サービス
  • 株式会社建設総合サービス
  • 昭和リース株式会社
  • 東京センチュリー株式会社
  • みずほファクター株式会社
  • 三菱UFJファクター株式会社
  • りそな決済サービス株式会社

ぐらいしかないのです。

メリットその3.ファクタリング手数料が安い

当然ですが・・・融資と同様にファクタリングも

  1. 大手都市銀行
  2. 都市銀行
  3. 地方銀行
  4. 信用金庫
  5. ノンバンク

という順番で、ファクタリング手数料が高くなります。

大手都市銀行の子会社のファクタリング会社は、ノンバンクのファクタリング会社と比較して「ファクタリング手数料が安い」メリットがあります。

銀行系ファクタリング会社のデメリット

デメリットその1.2社間ファクタリングは提供していない

銀行系ファクタリング会社は、2社間ファクタリングを提供していません。

2社間ファクタリングは、売掛先「クライアント」に知られずに債権を譲渡できる、中小企業の経営者にとっては、重宝するサービスです。

しかし、銀行系ファクタリング会社は、2社間ファクタリングを提供しない、提供できないのです。

man
「なぜ、銀行系ファクタリング会社は2社間ファクタリングを提供できないの?」
teacher
ファクタリングというサービスが「貸金業法」に該当するのか、判断が微妙だからです。
貸金業法というのは
「お金を貸す」事業をしている会社に適用される法律のこと

を言います。

貸金業法

(定義)第二条

この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)

  • 金銭の貸付け(融資やローン)
  • 手形割引
  • 売渡担保その他これらに類する方法

が「貸金」に該当するとされています。

ここには「ファクタリング(売掛債権買取)」は含まれていないのです。

だからこそ、ファクタリング会社は「貸金業の登録」をしないで、ファクタリングサービスの提供ができるのです。

「貸金」であれば「利息制限法」によって

  • 元本が10万円未満の場合:年20.0%
  • 元本が10万円以上100万円未満の場合:年18.0%
  • 元本が100万円以上の場合:年15.0%

を超える金利は「諸費用」を含めて、取ってはいけないことになります。

しかし、「ファクタリング(売掛債権買取)」は貸金ではないので、ファクタリング手数料20%でも、問題なくサービス提供されているのです。
man
「じゃあ、なんで銀行系ファクタリング会社はファクタリングサービスを提供していないの?貸金に該当しないのであれば良いのでは?」

「ファクタリング(売掛債権譲渡)」に似ているものとして「手形割引」があります。

「手形割引」は「貸金」に含まれているのです。「手形割引」の方が「ファクタリング(売掛債権譲渡)」によりも、融資に近い性質があるので、そのためという見方もできますが・・・

「ファクタリング(売掛債権譲渡)」も、将来的には「貸金」に含まれるかもしれない。
「ファクタリング(売掛債権譲渡)」は、「貸金」の定義づけから漏れていただけかもしれない。

と、「ファクタリング(売掛債権譲渡)」は、「曖昧な位置付け」の商品なのです。

ファクタリング(売掛債権譲渡)が「貸金」に該当した場合
年率15.0%以内の手数料であれば、問題ありませんが
年率15.0%を超えてファクタリング手数料を取ってしまうと、貸金業法違反

になってしまいます。

銀行系ファクタリング会社は、貸金業の登録をしているため、位置付けがあいまいな金融サービス「ファクタリング(売掛債権譲渡)」で、高い手数料が必要となる「2社間ファクタリング」の提供に二の足を踏んでいる状況なのです。

今後、法律が整備されてくれば、銀行系ファクタリング会社も、2社間ファクタリングを提供しはじめるかもしれませんが・・・

現時点では、

銀行系ファクタリング会社では「2社間ファクタリング」は利用できない

というデメリットがあるのです。

デメリットその2.情報が筒抜けになってしまう

ファクタリングの大きなメリットとしては

「BS(賃借対照表)」が汚れない

というものがあります。

ノンバンクから借り入れをしてしまえば、BS(賃借対照表)に借入金がのっかってしまうので、銀行の融資担当者にも、そのことがばれて「融資を受けにくくなる」問題が発生してしまいます。

しかし、ファクタリングであれば

「BS(賃借対照表)」上の売掛債権がなくなって、現金が増えるだけですから、「BS(賃借対照表)」がスリムになるだけで、借入には変化がありません。

ファクタリングであれば、銀行の融資担当者にバレずに資金調達ができるのです。

ここで、仮に銀行系ファクタリング会社にファクタリングを依頼してしまったら

親会社に情報が筒抜けになってしまいます。

staff
「この会社はファクタリングを利用していて、資金繰りが悪化している。」
銀行に知られてしまっては、融資が受けられないどころか、貸しはがしにあってしまうリスクがあるのです。

デメリットその3.売掛債権の買取までに時間がかかりすぎる

銀行融資をイメージしてもらえれば、察することができますが

銀行系ファクタリング会社の審査には、2週間~3週間かかります。

  • 慎重に審査をする
  • 慎重に会社の経営状況を調査する
  • 決済がたらい回しになる
    ・・・

ことが重なって、買取が成立するまでに2週間~3週間以上かかってしまうのです。

これでは

man
「資金繰りが悪化して、すぐに売掛債権を売却し、資金調達したい。」

という中小企業の経営者のニーズに応えられないのです。

1カ月後の売掛金が3週間後に入金されるのでは、ファクタリングをする意味がありません。

デメリットその4.ファクタリング審査が厳しい

銀行系ファクタリング会社はファクタリング手数料が安い分、審査が厳しくなってしまいます。

  1. 大手都市銀行
  2. 都市銀行
  3. 地方銀行
  4. 信用金庫
  5. ノンバンク

という順番でファクタリング手数料が安いのですから

  1. 大手都市銀行
  2. 都市銀行
  3. 地方銀行
  4. 信用金庫
  5. ノンバンク

という順番でファクタリング審査も厳しいことになります。

teacher

銀行系ファクタリング会社の場合は、ファクタリング手数料を月2.0%以下に抑えることで、継続的な買取を前提にしています。

ノンバンクの2社間ファクタリングのように「今回だけ、売掛債権を買ってもらう」というイメージではないのです。

「大手企業と毎月決まったら売掛債権が発生するから、その売掛債権を長期にわたって継続的に買い取る」というのが銀行系ファクタリング会社のファクタリングサービスのイメージなのです。

上記にそぐわなければ、ファクタリング審査に落ちてしまうのです。

まとめ

銀行系ファクタリング会社とは

  • 銀行子会社のファクタリング会社のこと

を言います。

銀行系ファクタリング会社のメリットには

  1. メリットその1.信頼性が高い
  2. メリットその2.簡単に提供できないファクタリングサービスを扱っている
  3. メリットその3.ファクタリング手数料が安い

というものがあり、

銀行系ファクタリング会社のデメリットには

  1. デメリットその1.2社間ファクタリングは提供していない
  2. デメリットその2.情報が筒抜けになってしまう
  3. デメリットその3.売掛債権の買取までに時間がかかりすぎる
  4. デメリットその4.ファクタリング審査が厳しい

というものがあります。

ある程度の規模の会社で「国際ファクタリング」や「保証ファクタリング」を利用する場合は、銀行系ファクタリング会社がおすすめです。

しかし、一般的な中小企業の経営者が「売掛債権を譲渡してすぐに資金化したい。」という場合には、銀行系ファクタリング会社は不向きなので、おすすめできません。

  • 2社間ファクタリングは利用できないのでクライアントに知られる(取引が継続できないリスクがある)
  • ファクタリング審査が厳しい(大手の売掛先である、継続利用する、という状況でないと審査が通らない)
  • ファクタリング審査が通っても、審査自体に時間がかかりすぎる(2週間~3週間)
  • 親会社の銀行に資金繰りが悪化していることがばれて、今後の融資にマイナスの影響がある

というマイナス面があるので、中小企業の経営者が「売掛債権を譲渡してすぐに資金化したい。」という場合は、ノンバンクの2社間ファクタリングを利用すべきなのです。

teacher
2社間ファクタリングを提供しているノンバンクは、無名の会社も多く、不安になることも理解できますが、信頼できる会社も多くあるので、「銀行」という名前に惑わされずに、必要なファクタリング会社を選ぶことをおすすめします。

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