介護報酬ファクタリングとは?介護報酬ファクタリングの仕組み、メリットデメリット

man
「介護報酬ファクタリングって何?」
「他のファクタリングと何が違うの?」

介護報酬ファクタリングに対して疑問を持つ経営者の方も多いかと思います。今回は介護報酬ファクタリングの仕組み、メリットデメリットについて解説します。

介護報酬ファクタリングとは?

介護サービス事業者が介護保険サービスを提供した場合、事業者は介護報酬の9割を国民健康保険団体連合会(国保連)に請求し、1割を利用者に請求する仕組みです。

9割は、保険で支払われるため、9割分は国保連へ介護サービス事業者が「介護給付費請求書」「介護給付費明細書」を提出して受け取る仕組みになっています。

介護事業者が受け取る介護報保険サービスの報酬は

  1. 被保険者:1割負担(※2割のケースあり)
  2. 国保連:9割負担(※8割のケースあり)

という内訳です。

しかし、国保連は介護サービス事業者へすぐに支払いをしてくれるわけではありません。

居宅介護支援事業所の場合

  1. 1月1日~31日:サービス提供
  2. 2月10日まで:国保連に「介護給付費請求書」「介護給付費明細書」の送付
  3. 3月1日前後:国保連から介護事業者に突合審査結果通知「審査支払結果帳票」
  4. 3月26日前後:国保連が介護事業者に「介護給付費」の支払い

という流れになるので「サービス提供」から「約56日」後の入金になるのです。

介護報酬ファクタリングとは

介護サービス事業者が国民健康保険団体連合会(国保連)に請求する「介護給付費」を「約50日~60日」後の支払日よりも前にファクタリング会社から受け取る債権譲渡サービスのこと

を言います。

介護報酬ファクタリングの仕組み

  1. 介護サービス事業者:ファクタリング会社へ介護報酬ファクタリングを申込む
  2. 介護サービス事業者・ファクタリング会社:ファクタリング契約を締結する
  3. 介護サービス事業者:「国保連」へ債権譲渡通知を行う
  4. ファクタリング会社:買取金額の70%~90%を介護サービス事業者に支払い
  5. 介護サービス事業者:「国保連」へ介護報酬の請求を行う
  6. 「国保連」:介護給付費明細書の突合審査
  7. 「国保連」:ファクタリング会社へ介護報酬を支払い
  8. ファクタリング会社:買取金額の残額(20%~30%)を介護サービス事業者に支払い

解説

介護報酬ファクタリングは「介護サービス事業者」と「国保連」と「ファクタリング会社」の間で行われる3社間ファクタリングです。

「介護サービス事業者」は「利用者」に介護サービスを提供した場合には、「利用者」へは介護報酬の1割しか請求しません。残りの9割を「国保連」に請求します。

「介護サービス事業者」は「ファクタリング会社」にファクタリングを依頼した後に、「国保連」に介護報酬債権を譲渡した旨を伝えます。

「ファクタリング会社」は債権譲渡通知完了後に、ファクタリング契約を締結し、介護報酬債権の買取可能額(額面に掛目を掛けたもの)を支払います。※一般的に80%

後日、通常のスキーム通りに「介護サービス事業者」は「国保連」へ「介護給付費請求書」「介護給付費明細書」を送付沿し、介護報酬の請求をします。

「国保連」は、「介護給付費明細書」の内容に不備がないか「突合審査」を行い、「突合審査」の結果を「審査支払結果帳票」という形で「介護サービス事業者」に通知します。

その後、通知した額が「国保連」から「ファクタリング会社」に支払われます。「ファクタリング会社」は支払いを確認された後に残額の20%を「介護サービス事業者」に支払う仕組みとなっています。

man
なぜ、全額買い取ってくれないの?

「介護給付費明細書」を「国保連」に送付した段階では、100%全額が支払われるとは限らないからです。「国保連」は提出された「介護給付費明細書」の突合審査を行います。

ここで「全く問題ありません」ということであれば良いのですが「返戻」があるケースも多々あるのです。

よくある「介護給付費」の返戻理由

共通
  • 当該受給者情報は受給者台帳に未登録
  • 変更申請中の受給者
  • 受給者台帳記載項目と不一致
給付管理票
  • 既に該当給付管理票有り
  • 対象となる給付管理票なし
  • 事業所情報が事業所基本台帳に未登録
  • 事業所情報がサービス台帳に未登録
  • 指定・基準該当サービス区分コード誤り
居宅介護支援費
  • 生活保護以外の公費請求は受付対象外
  • 受給者台帳記載の支援事業所番号と不一致
  • 請求明細書に対する給付管理票と突合不一致
  • 4種類以上のサービスを計画していないため返戻
介護給付費請求明細書・居宅介護支援費
  • 既に該当介護給付費明細書有り
  • 既に該当介護給付費給付実績有り
  • 利用者負担額等の総額が再計算値を超過
  • エラー関連項目(計算時自動訂正)
  • 必須項目が未設定
  • 日付の形式誤り
  • 有効期間外の保険者
  • 当該公費負担者情報は同台帳に未登録
  • 受給者の要介護度では算定不可
  • 摘要欄が未記入
  • 保険単位数合計:給付単位数0は誤り
  • 食事標準負担額(日額)が不正です
  • 日数が期間を超えています
  • 日数超過

介護報酬ファクタリングのメリット

メリットその1.資金繰りが改善する

介護サービス事業者が保険適用分の介護報酬を「国保連」から受け取るまでのタイムラグは

  1. 1月1日~31日:サービス提供
  2. 2月10日まで:国保連に「介護給付費請求書」「介護給付費明細書」の送付
  3. 3月1日前後:国保連から介護事業者に突合審査結果通知「審査支払結果帳票」
  4. 3月26日前後:国保連が介護事業者に「介護給付費」の支払い

という流れになるため、支払があるのは「サービス提供月の月末から56日後」です。

介護サービスを提供してから、入金があるまでのタイムラグが約2カ月あります。

人件費や家賃、その他の経費は先に支払わなければならないため、資金力・経営体力のない介護サービス事業者は資金繰りが悪化してしまうのです。

介護ファクタリングを利用する場合、介護報酬請求から約5営業日で「ファクタリング会社」は買取額を支払ってくれます。

本来56日後に支払われる介護報酬がたったの5営業日で支払われるのですから、資金繰りが改善するのです。

メリットその2.3社間ファクタリングと比較して債権譲渡通知の負担がない

3社間ファクタリングの場合は、企業は取引先(クライアント)である売掛先に債権譲渡通知をしなければならないため、「債権を譲渡するということは経営難なのでは?」と勘繰られてしまい、今後の取引にマイナスの影響があることが危惧されました。

しかし、介護報酬ファクタリングの場合は「国保連」への債権譲渡通知です。

「国保連」は公的な機関ですので、「債権譲渡通知をしたから、今後は介護報酬は支払わないよ。」ということは起こりえないので、気兼ねなく債権譲渡の承諾を得ることができます。

公的機関である「国保連」は、ファクタリングサービス自体を認めているため、債権譲渡通知をしたところで、全く問題にはならないのです。

メリットその3.貸し倒れがないからこそ、ファクタリング手数料が格安

介護報酬ファクタリングのファクタリング手数料相場は

月0.5%~3.0%

です。

民間企業のファクタリングの相場は

  • 3社間ファクタリング:1.0%~5.0%
  • 2社間ファクタリング:10.0%~20.0%

ですから、格安のファクタリング手数料となっています。

「国保連」は公的機関ですので、民間企業と比較して倒産するリスクは極めて小さいからです。ゼロと言うわけではありませんが、「国保連」が倒産するということは、日本が崩壊するぐらいのケースですので、考慮する必要がないぐらいです。

つまり、ファクタリング会社にしてみれば、「貸し倒れリスクゼロ」で買い取れるのですから、安いファクタリング手数料でサービスが提供できることになります。

初期費用(初期審査料)や更新料なども、無料のファクタリング会社がほとんどです。

メリットその4.融資よりも審査が通りやすい

介護サービス事業者も、融資による資金調達を行います。

  • ケアマネジャーの人件費
  • 介護設備の購入
  • 医薬品の購入費
  • 介護施設の家賃
  • 介護施設のリフォーム費用
    ・・・

など高額な支出が多く、銀行から資金調達をすることも珍しくありません。

しかし、はじめのうちは介護事業者に対して、銀行も保証協会の保証付融資などで融資してくれますが、計画通りに利益が出ていない状況になれば、徐々に融資を渋るようになってきます。

そうなると、医療ローンなど金利の高い資金調達方法を検討せざるを得ない状況に追い込まれます。しかし、金利の高い医療ローンとは言っても、決算状況が良くなければ、なかなかローン審査は下りないのです。

前述した通りで

  • 融資やローンであれば金融機関には「貸し倒れリスク」がありますが
  • 介護報酬ファクタリングの場合は、ファクタリング会社に「貸し倒れリスク」は、ほぼありません。

そのため、介護報酬ファクタリングの審査は、95%~99%通るぐらい審査が甘く設定されているのです。

  • 赤字決算
  • 銀行融資や医療系のビジネスローン審査に通らない
  • 銀行融資がリスケ中
  • 税金未納
  • 新設法人
    ・・・

という状態であっても、介護報酬ファクタリングの審査だけは通る可能性が高いのです。

これも介護サービス事業者の経営者にとっては大きなメリットと言えます。

メリットその5.賃借対照表(BS)が汚れないため今後の融資審査に影響がない

介護報酬ファクタリングは、「借入」ではなく、「債権の譲渡」ですから、賃借対照表(BS)が汚れることはありません。

ノンバンクからの借入が決算書に記載されてしまうと、銀行は新規の融資に及び腰になります。

staff
「ノンバンクから借りるほど経営状態が悪いのか。」

と判断するからです。

しかし、介護報酬ファクタリングであれば、決算書には「売掛金」が「現金」に代わり、ファクタリング手数料分の譲渡損が出るだけです。

借入に変化がないので、銀行の融資姿勢にも悪影響がないのです。

介護報酬ファクタリングのデメリット

デメリットその1.100%全額買い取ってもらえるわけではない!

介護報酬ファクタリングでは70%~90%の掛目が設定されていて、額面の70%~90%が買取対象になり、その金額がすぐに入金されます。

一般的な買取割合(掛け目):80%

です。

100%買い取ってもらえない理由は、前述した通りで「介護報酬請求の不備によって返戻がある可能性があるから」です。返戻があった場合には、残りの10%~30%の残高で調整することになります。

デメリットその2.一度導入するとなかなか抜け出せない

介護報酬ファクタリングは、継続的に利用することが前提のファクタリングサービスです。

介護報酬ファクタリングを利用していないときは

「人件費、賃料、医薬品仕入費用等の支払」 → 「介護報酬の入金」

介護報酬ファクタリングを利用すると

「介護報酬の入金」 → 「人件費、賃料、医薬品仕入費用等の支払」

と、入金と支払の順番が入れ替わります。

資金繰りは大幅に改善することになりますが、一旦、この順番にしてしまうと、元に戻すためには2カ月~3か月分の経費を資金として持っておかなければならないのです。

一旦、介護報酬ファクタリングを導入してしまうと、「なかなか元に戻せない」というデメリットがあります。

デメリットその3.ファクタリング手数料分は利益が減る

当然ですが、介護報酬ファクタリングはファクタリング手数料を支払うことで先に入金してキャッシュフローを改善する仕組みです。

しかし、PL(損益)ベースで見ると、売上金額は同じまま、ファクタリング手数料というコストが新たに加わることになるので、経常利益は小さくなってしまいます。

銀行が経常利益率の悪化を指摘してくる可能性もあります。

介護報酬ファクタリングは

  • BS → 影響なし
  • PL → 影響あり

となってしまうのです。

介護報酬ファクタリングの申込手順

1.ファクタリング会社への申込

  • ファクタリング契約書
  • 早期入金サービス申込書
  • 債権譲渡通知書
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 印鑑証明書

2.債権譲渡契約

基本的には来店での契約となります。来店不要のファクタリング会社もあります。

3.債権譲渡通知書送付

「国保連」に債権譲渡通知書をファクタリング会社との連名で送付します。

4.介護報酬請求

「国保連」に対して介護報酬の請求を行います。

5.ファクタリング会社から買取額の入金

ファクタリング会社から、買取割合を乗じた介護報酬から、ファクタリング手数料を引いた金額が入金されます。

6.ファクタリング会社から残額の入金

元々の支払期日に、ファクタリング会社から買い取れなかった残額が支払われます。

おすすめの介護報酬ファクタリング業者

51位
34位
33位
5位
14位
35位
29位
32位
21位
42位
18位
20位

まとめ

介護報酬ファクタリングとは

  • 介護サービス事業者が国民健康保険団体連合会(国保連)に請求する「介護給付費」を「約50日~60日」後の支払日よりも前にファクタリング会社から受け取る債権譲渡サービスのこと

を言います。

介護報酬ファクタリングのメリットは

  1. メリットその1.資金繰りが改善する
  2. メリットその2.3社間ファクタリングと比較して債権譲渡通知の負担がない
  3. メリットその3.貸し倒れがないからこそ、ファクタリング手数料が格安
  4. メリットその4.融資よりも審査が通りやすい
  5. メリットその5.賃借対照表(BS)が汚れないため今後の融資審査に影響がない

介護報酬ファクタリングのデメリットは

  1. デメリットその1.100%全額買い取ってもらえるわけではない!
  2. デメリットその2.一度導入するとなかなか抜け出せない
  3. デメリットその3.ファクタリング手数料分は利益が減る

というものがあります。

介護報酬ファクタリングは、ファクタリング手数料も、民間企業のファクタリングサービスと比較するとかなり低額ですので、資金繰りに困っている介護サービス事業者にはおすすめの資金調達方法と言えます。

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介護報酬ファクタリング専門のファクタリング会社も数多くあり、競争が激しいため

  • よりファクタリング手数料の安いファクタリング会社
  • より買取割合の高いファクタリング会社
  • 最新システムの導入によってファクタリングの書類のやり取りの手間の削減をしているファクタリング会社

など、多くの選択肢があります。介護報酬ファクタリングを利用する場合には、これらのファクタリング会社のサービスを比較検討して、手数料が安く、手間が軽減されるファクタリング会社を選ぶことをおすすめします。

介護報酬ファクタリングでも、一定数の悪徳業者はいるので、優良業者を選ぶようにこころがけましょう。

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