ファクタリングの債権譲渡登記とは?譲渡登記はしても良いの?債権譲渡登記の役割・デメリット。債権譲渡登記が不要なファクタリング会社とは?

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「ファクタリングを申込んだら、債権譲渡登記が必要と言われたのですが、債権譲渡登記とは何でしょうか?」
「債権譲渡登記をするデメリットは何がありますか?」
「債権譲渡登記をしたくない場合はどうすれば良いでしょうか?」
・・・

ファクタリングをするときには必ずと言っていいほど、必要になってくる「債権譲渡登記」ですが、詳しく理解している方はあまりいない印象です。今回は、債権譲渡登記とは?譲渡登記はしても良いの?などの疑問と債権譲渡登記の役割・デメリット。債権譲渡登記が不要なファクタリング会社について解説します。

ファクタリング自体を理解していない方はこちら

ファクタリングの債権譲渡登記とは?

法務局のウェブサイトでは

債権譲渡登記とは

債権譲渡登記制度は、法人がする金銭債権の譲渡や金銭債権を目的とする質権の設定について、簡便に債務者以外の「第三者に対する対抗要件」を備えるための制度です。金銭債権の譲渡又は金銭債権を目的とする質権設定をしたことを第三者に対抗するためには、原則として、確定日付ある証書によって債務者に対する通知を行うか、又は、債務者の承諾を得なければなりませんが、法人が金銭債権を譲渡した場合又は金銭債権を目的とする質権設定をした場合には、債権譲渡登記所に登記をすれば、第三者にその旨を対抗することができます。

債権譲渡の対抗要件とは

民法第467条は、債権を譲渡した場合には、その債権の譲受人が債務者に対して自分が債権者であることを主張するためには、譲渡人から債務者に対して債権譲渡の事実を通知するか、債務者の承諾を得なければならないこととしています。
また、その債権譲渡の事実を債務者以外の第三者、すなわち、債権の二重譲受人、差押債権者、破産管財人などに対して主張するためには、この債務者への通知又は承諾の手続は、確定日付ある証書によって行わなければならないとしています。
このように、債権譲渡の事実を債務者や第三者に対して主張するための法律要件が債権譲渡の対抗要件といわれるものです。

出典:法務局

と書かれていますが、もう少し簡単に説明すると

債権譲渡登記とは

債権を譲渡する際に「この債権は、〇〇から、△△が、□□日に譲渡されたものですよ。」ということを公的に証明するための制度のこと

と言えます。

具体的な例で解説すると

二重譲渡

株式会社A社が、ファクタリング会社B社、ファクタリング会社C社に、売掛先D社の債権D:1,000万円を二重で譲渡するとします。

ファクタリング手数料が10%であれば

  • ファクタリング会社B社は、900万円で債権Dを買取
  • ファクタリング会社C社は、900万円で債権Dを買取

株式会社A社は、1,000万円の債権で、1,800万円を得ることができるのです。

当然、これは「二重譲渡」と言い、一つしかない債権を2社に譲渡したのですから、詐欺行為にあたります。

この場合、

ファクタリング会社B社も、ファクタリング会社C社も、900万円はしはらっているので、何としてでも、売掛先D社が支払う1,000万円はかいしゅうしなければならないと考えます。

このときに公的な証明がないと「どちらが優先的な権利があるのか?」を裁判で争わなければならなくなってしまうのです。

この「公的な証明」になるのが「債権譲渡登記」です。

日付の早い債権譲渡登記のあるファクタリング会社が優先と判断されます。

「第三者対抗要件の具備」とは

自分以外の第三者が債権回収の権利を要求してきても、

「これは俺が買い取った債権だ。」

と、公的に主張できる権利のこと

を言うのです。

債権譲渡登記以外に「第三者対抗要件の具備」をする方法はないの?

債権譲渡登記というのは、平成10年10月1日から実施されているものです。

それ以前は

確定日付のある証書(内容証明郵便(主に譲渡人からの通知の場合)や公証人の確定日付印がある書面)で、譲渡人(ファクタリングを利用する方)から債務者(売掛先)に対する通知、もしくは債務者(売掛先)による承諾

があれば、「第三者対抗要件の具備」、つまり公的な証拠として主張できるものとなっていたのです。

しかし、「売掛先への通知」が必要だったため、なかなか「第三者対抗要件の具備」ができないのが実情でした。

そこで、開発されたのが「債権譲渡登記」です。

「債権譲渡登記」であれば

  • 譲渡人(ファクタリングを利用する方)
  • 譲受人(ファクタリング会社)

の共同申請によって、「第三者対抗要件の具備」ができるようになったのです。

債務者(売掛先・クライアント)に知られることなく、「第三者対抗要件の具備」ができるようになったため、ファクタリング会社も「2社間ファクタリング」というサービスを開始することができるようになったのです。

ファクタリングを利用する方にとっての「債権譲渡登記」のメリット

メリットその1.多くのファクタリング会社では「債権譲渡登記」が必要

ファクタリングを利用する際には、ほとんどのファクタリング会社で「債権譲渡登記」を依頼されるはずです。

「債権譲渡登記」をするからこそ

利用できるファクタリング会社の選択肢が広がる

というメリットがあるのです。

「債権譲渡登記」が不要なファクタリング会社もありますが、その数は少ないため、選択肢が限られてしまいます。

ファクタリングを利用する方にとっての「債権譲渡登記」のデメリット

デメリットその1.登記情報は「売掛先(クライアント)」にみられる可能性がある

  • 法人登記
  • 不動産登記

と同じように

  • 債権譲渡登記

も、登記所や登記情報サービスを見れば、誰でも、登記情報を見られる仕組みになっています。

2社間ファクタリングは、売掛先(クライアント)に知られずに債権を譲渡できる

ということが売りなのですが

売掛先(クライアント)が登記情報を見てしまえば、ばれてしまう可能性がある

ということでもあるのです。

とはいえ、わざわざ自社の売掛債権をチェックする会社はほとんどいないため、実際にはあってないようなデメリットと言えます。

デメリットその2.債権譲渡登記には諸費用が発生する

債権譲渡登記をするためには

  • 司法書士

に依頼する必要があります。

  • 司法書士報酬
  • 登録免許税

の実費が発生するのです。

この実費は、ほとんどのケースで、ファクタリング会社は実費請求してきます。

債権譲渡登記をしないケースと比較すると、コストが若干増えてしまうのです。

債権譲渡登記の諸費用の相場は

司法書士報酬
  • 3万円~5万円
登録免許税
  • 債権譲渡登記(債権個数が5,000個以下の場合): 1件につき 7,500円
  • 債権譲渡登記(債権個数が5,000個を超える場合): 1件につき 15,000円
  • 延長登記:1件につき 3,000円
  • 抹消登記: 1件につき 1,000円

となります。

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MEDS JAPANを利用したときは、4万1174円が債権譲渡登記費用として発生しています。

登録時にも必要になりますが、ファクタリングの契約が終了して、抹消するときも費用が発生するので注意が必要です。

デメリットその3.銀行や金融機関の融資審査に影響がある

銀行などは、融資審査のときに「債権譲渡登記の内容のチェック」を行います。

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「売掛債権があるから、売掛金が来月には入金されるから、資金繰りに問題はないな。」

なんて、判断してしまい、後から、「その売掛債権は譲渡済みだった。」となると、貸し倒れになるリスクが大幅に上がってしまいます。

このような審査ミスを防ぐために、銀行や金融機関で審査が厳格なところは、審査時に「債権譲渡登記チェック」を行うため、債権譲渡登記をしていた場合に審査が通りにくくなってしまうのです。

これが「債権譲渡登記」の最大のデメリットと言えるでしょう。

デメリットその4.法人しか利用できない。個人事業主(自営業者)はNG

債権譲渡登記というのは、あくまでも「法人格」が利用できる登記となっています。

登記申請では

  • 法人の登記事項証明書

が必要になります。

個人事業主や自営業者は、債権譲渡登記を行えないため、ファクタリング会社も、「個人事業主(自営業者)はNG」としているのです。

債権譲渡登記の申請方法

債権譲渡登記は

債権譲渡登記所(東京法務局民事行政部債権登録課)に申請をします。

申請方法は

  1. 書面方式
  2. 事前提供方式
  3. オンライン方式

があります。

登記申請では

  • 登記申請書
  • 【代理申請の場合】代理権限証書(委任状等)
  • 譲渡人(ファクタリングを利用する方)の代表者の資格証明書(登記事項証明書)
  • 譲渡人(ファクタリングを利用する方の代表者の印鑑証明書(登記所が作成したもの)
  • 【譲受人が法人の場合】譲受人の代表者の資格証明書(登記事項証明書)
  • 存続期間が登記の日から50年(債務者不特定の債権を含む場合には10年)を超えるときは、その存続期間を定めるべき特別の事由があることを証する書面
  • 申請データ(登記すべき事項等)を記録したCD-R又はCD-RW

が必要になります。

ファクタリングを利用する際には

債権譲渡登記の申請業務は、ファクタリング会社が依頼した司法書士が行います。

  • 委任状に捺印する
  • 法人の謄本
  • 代表者の印鑑証明書

を契約時に渡すと、司法書士が退席し、登記所に行って、登記をする形になります。

債権譲渡登記が完了したら、ファクタリング会社との契約が完了し、入金が実行される仕組みになっています。

債権譲渡登記の内容

債権譲渡登記では

  • 譲渡人及び譲受人の商号・本店等(自然人の場合は氏名・住所)
  • 登記原因及びその日付
  • 登記の存続期間
  • 登記番号
  • 登記年月日
  • 債権の総額
  • 債権を特定するために必要な事項

という情報が記載されています。

サンプル例

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【登記の目的】:債権譲渡登記
【譲渡人】
【本店等】:東京都千代田区九段南一丁目××番××号
概 要 事 項
【商号等】:甲乙産業株式会社
【会社法人等番号】:○○○○01○○○○○○
【取扱店】:-
【日本における営業所等】:-
【譲受人】
【本店等】:東京都中野区野方一丁目××番××号
【商号等】:丙丁ファイナンス株式会社
【会社法人等番号】:○○○○01○○○○○○
【取扱店】:-
【日本における営業所等】:-
【登記原因日付】:平成26年4月19日
【登記原因(契約の名称)】:売買
【債権の総額】:100,000,000 円
【被担保債権額】:-
【登記の存続期間の満了年月日】:平成33年4月18日
【備考】:-
【申請区分】:出頭
【登記番号】:第2014-10000号
【登記年月日時】:平成26年4月22日  10時10分

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債権譲渡登記が不要なファクタリング会社とは?

MEDS JAPANで実際にファクタリングを利用した際には

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「売掛債権の債権譲渡登記は、原則お願いしておりますが、銀行の融資審査中など特別なご事情があった際には、債権譲渡登記をしないという対応を取ることも可能です。」

と話していました。

実際に「債権譲渡登記をしなくても良い。」「債権譲渡登記はしない方針」というファクタリング会社も、多いようです。

これは、どういうことかというと・・・

現時点で

  • 他のファクタリング会社(その他の会社)が債権譲渡登記をしていない

ことが明確な場合に

  • 委任状
  • 印鑑証明書
  • 登記事項証明書

をファクタリング会社が「預かる」状態で保留する

という対応を意味します。

いざ、返済が滞ったりした場合には、すぐに債権譲渡登記が申請できる状態にしておくということです。

これであれば

  • ファクタリング会社 → 無駄な作業、司法書士への発注が発生しない
  • ファクタリングを利用する方 → 諸費用が発生しない、銀行の融資審査などへの影響がない

とWIN-WINの状態になるのです。

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「債権譲渡登記をしたくない」というのであれば、ファクタリング会社に相談してみることをおすすめします。

ただし、注意しなければならないのは

  • 信頼性の高い顧客 → 理由によって、債権譲渡登記なしでも対応
  • 信頼性の低い顧客 → 債権譲渡登記が必須

というケースが多いのです。

とくに

  • 初回取引
  • 決算内容が悪い
  • 面談時の印象が悪い

というケースでは「債権譲渡登記」を求められることも多いので、注意が必要です。

まとめ

ファクタリングの債権譲渡登記とは?

  • 債権を譲渡する際に「この債権は、〇〇から、△△が、□□日に譲渡されたものですよ。」ということを公的に証明するための制度のこと

と言えます。

ファクタリングには、二重譲渡問題が付きまとうため、それを公的な証拠で回避するのが「債権譲渡登記」なのです。

ファクタリング会社は

基本的には「債権譲渡登記」をすることで、売掛先への通知なしでも、二重譲渡リスクを回避できるようになり

  • 2社間ファクタリング

が誕生したのです。

ファクタリング会社によっては

  • 「債権譲渡登記は原則必要」ただし、理由や審査の結果によっては「債権譲渡登記なし」でも対応可能

という会社が少なくありません。

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銀行の融資審査中などの正当な理由で、債権譲渡登記をしたくない方は、ファクタリング会社に相談してみると良いでしょう。信頼できると判断されれば「債権譲渡登記なし」でファクタリングを利用することも可能です。

「債権譲渡登記なし」のファクタリング会社もありますので、申込むファクタリング会社に債権譲渡登記の有無を聞いてみると良いでしょう。ただし、「債権譲渡登記なし」とはいえ、正確に言えば「債権譲渡登記がいつでもできる状態で保留する」ということですので、売掛金の使い込みや倒産などがあれば、すぐに登記されてしまうことに注意が必要です。

また、ファクタリングでは悪徳業者に注意が必要です。

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