ファクタリング会社を乗り換えるというのは、どういうことでしょうか?今回は、ファクタリング会社の乗り換えについて、乗り換えの仕組み・方法・手順・メリットデメリット・注意点を解説します。
ファクタリング会社の乗り換えとは?
ファクタリング会社の乗り換えとは
を、「ファクタリング会社の乗り換え」「ファクタリング乗り換え」「ファクタリング会社の切り替え」と言います。
実際に例を挙げて見てみましょう。
ファクタリング乗り換えの例
A社:ファクタリング手数料:15%
B社:ファクタリング手数料:5%
という状態で、毎月100万円の売掛債権が発生する場合
- 1月末日 → 2月末支払いの売掛債権100万円をファクタリング会社A社に85万円で売却 入金合計:185万円
- 2月末日 → 本来入金がある100万円はすでに売却済のため、入金がなく
仕方なく、3月末支払いの売掛債権100万円をファクタリング会社A社に85万円で売却 入金合計:85万円 - 3月末日 → 本来入金がある100万円はすでに売却済のため、入金がなく
仕方なく、 4月末支払いの売掛債権100万円をファクタリング会社A社に85万円で売却 入金合計:85万円ファクタリング会社をA社からB社に乗り換え - 4月末日 → 本来入金がある100万円はすでに売却済のため、入金がなく
仕方なく、 5月末支払いの売掛債権100万円をファクタリング会社A社に95万円で売却 入金合計:95万円 - 5月末日 → 本来入金がある100万円はすでに売却済のため、入金がなく
仕方なく、 6月末支払いの売掛債権100万円をファクタリング会社A社に95万円で売却 入金合計:95万円 - 売上増・コスト削減により、ファクタリングを利用せずに資金繰りが回るようになる
ファクタリングは「一回の利用に留めよう」「一回利用すれば資金繰りの算段は付く」と思っていても、実際には、
という状態になりやすく、意図しても、意図しなくても、継続利用になるケースが少なくありません。
継続的にファクタリングを利用すればするほど
という状況に追い込まれてしまいます。
そこで、利用されるのが「ファクタリング乗り換え」です。
ファクタリングのコスト負担が抑えられ、ファクタリングの継続利用ループから脱出しやすくなることが「ファクタリング乗り換え」であり、最大のメリットなのです。
ファクタリング会社の乗り換えの手順
前提として
ファクタリングは、継続的に契約するケースは少なく、ほとんどが単発の契約となります。
2社間ファクタリングでは
ということになります。
手順その1.乗り換え先のファクタリング会社を見つける
既存のファクタリング会社を利用している段階で、まだ、ファクタリングを継続利用しなければならない状況であれば、複数のファクタリング会社に相見積もりをして、ファクタリング手数料の安いファクタリング会社を探す必要があります。
少しでも、ファクタリング手数料の安いファクタリング会社を探すためには、多くのファクタリング会社から、買取額の査定をしてもらう必要があります。
手順その2.現在利用中のファクタリング会社よりも、ファクタリング手数料の安いファクタリング会社があればそちらに申込む
相見積もりの結果、現在利用中のファクタリング会社よりも、ファクタリング手数料の安いファクタリング会社が見つかった場合
次回以降のファクタリング(売掛債権買取)は、そのファクタリング会社に申し込みます
手順その3.新しいファクタリング会社でファクタリングを行う
無事、新しく申し込んだファクタリング会社の審査が通れば、そちらでファクタリングを行います。
手順その4.ファクタリングの乗り換え完了
ファクタリング会社の乗り換えのメリット
メリットその1.手元に残るお金が多くなる
ファクタリングを継続利用する場合は
ことになります。
試算例
毎月、売却する売掛債権が100万円の場合
- ファクタリング手数料:20% → 手元に残るお金:80万円
- ファクタリング手数料:15% → 手元に残るお金:85万円
- ファクタリング手数料:10% → 手元に残るお金:90万円
- ファクタリング手数料: 5% → 手元に残るお金:95万円
本来、100万円の入金が予定されているのに、80万円の入金しかない場合は、より資金繰りが苦しくなり、経営状況が悪化し、他の融資などによる資金調達も難しくなってしまいます。
本来、100万円の入金が予定されている時に、95万円の入金があれば、若干入金額は減るものの、コスト削減などで資金繰りを乗り切れる可能性はあり、他の融資などによる資金調達ができる余地も出てきます。
メリットその2.ファクタリングの継続利用ループから脱出しやすくなる
前述した通りで
ケースが多いのです。
今月の資金難を来月の売掛債権を売却してしのいでも、来月も、売掛金がないので資金難になり、再来月の売掛債権を売らなければならなくなるというループです。
このループから脱出するためには
- 売上増
- コスト削減
をしながら
- 他の資金調達で、1カ月分の資金を用意する
- 利益を積み重ねて、1カ月分の資金を用意する
必要がありますが、他の資金調達(融資)の審査に通るためには、毎月のキャッシュフローが良いことが条件になり、そのためには、ファクタリング手数料が安いところを利用する方が手持ちの資金が増えて有利なのです。
また、どんなにファクタリング手数料が安いファクタリング会社を利用しても、継続利用することになれば、銀行融資やビジネスローンと比較すると、年率換算したときのコスト負担は大きいです。
- 1カ月後の売掛債権売却時のファクタリング手数料:20.0% → 年率:240.0%
- 1カ月後の売掛債権売却時のファクタリング手数料:15.0% → 年率:180.0%
- 1カ月後の売掛債権売却時のファクタリング手数料:10.0% → 年率:120.0%
- 1カ月後の売掛債権売却時のファクタリング手数料: 5.0% → 年率: 60.0%
- 銀行融資 年率2.0%~3.0%
- ビジネスローン 年率5.0%~15.0%
- 不動産担保ローン 年率5.0%~10.0%
ですから、できるだけファクタリングは利用せずに、他の資金調達方法(銀行融資、ビジネスローン)へ切り替える方が経営的は良いのです。1回、2回の単発利用であれば大きな問題はありませんが、継続的にファクタリングを利用する状態になっている場合は、早くファクタリングから、別の資金調達方法に切り替える必要があるのです。
メリットその3.乗り換えに失敗してもリスクはない
ファクタリング乗り換えの失敗 = 今のファクタリング会社よりもファクタリング手数料の安いファクタリング会社が見つからない
ことを意味しますが、その場合は、今使っているファクタリング会社を使い続ければ良いだけですので、特段のリスクはありません。他のファクタリング会社を検討したから、今使っているファクタリング会社の継続利用ができなくなるということもありません。
ファクタリング会社の乗り換えのデメリット
デメリットその1.新しいファクタリング会社を見つけるのに手間がかかる
今使っているファクタリング会社よりも、ファクタリング手数料の安いファクタリング会社を探すためには
少なくとも、3社、4社のファクタリング手数料の安いファクタリング会社を探す必要があります。
当然、「審査に落ちる」こともありますし、実際に査定してもらったら、「今使っているファクタリング会社の方がファクタリング手数料の安かった」ということもあります。
また、多くのファクタリング会社に申し込むためには、それだけ必要書類を用意し、各社の担当者とやり取りをしなければならないため、時間や労力が割かれてしまいます。
ファクタリング会社の乗り換えを成功させるコツ
1.「審査が通ればラッキー」という感覚で、多くのファクタリング会社に申し込む
ファクタリングでは
ファクタリング手数料の高いファクタリング会社 = 審査が甘い
という傾向にあるため、
ファクタリング手数料の安いファクタリングを探そうとすればするほど、審査落ちの可能性が高くなってしまいます。
しかし、ファクタリングの乗り換えでは、乗り換え先が見つからなくても今使っているファクタリング会社を継続利用すれば済むので、失敗にリスクがないのです。
2.継続的に乗り換え先のファクタリング会社を探す
ファクタリング会社というのは、100社以上あり、毎月数社の新しいファクタリング会社が誕生しています。
また、ファクタリング会社の状況、ファクタリング業界の状況に合わせて、審査基準も、変動しているため、今月審査が通らなかったとしても、来月、再来月には審査が通る状態になっている可能委性もあるのです。
今月、乗り換え先のファクタリング会社が見つからなかったとしても、ここで乗り換え自体をあきらめる必要はなく、
- 来月、再来月は、別のファクタリング会社を探す
- 半年後には、売掛債権の内容、ファクタリング会社の方針が変わるので、以前ダメだったところに再依頼する
という動きを継続的に行えば、乗り換えの成功率は格段に上がるのです。
3.乗り換え先が見つかったら、既存のファクタリング会社に交渉することも可能
既存のファクタリング会社にとってみれば、「ファクタリング会社の乗り換え」というのは、見込んでいた売上がなくなってしまうものですので「できれば避けたいこと」です。
正式な乗り換え先の買取査定・見積書があれば、それを見せながら、「同じレベルまでファクタリング手数料を値引きできないか?」交渉することで、今使っているファクタリング会社のファクタリング手数料を下げてもらえる可能性も出てきます。
ファクタリング手数料は、継続利用して返済している実績が長くなれば長くなるほど、安くなるものです。
ただし、この方法は、乗り換え先を真剣に探して、実際の買取査定書・見積書がなければ、交渉は成立はしません。
架空の条件で交渉しても、「本当ですか?」と疑われてしまいますし、「じゃあいいです。」と断られてしまった時に買い取ってもらえる先がなくなってしまうリスクがあります。
4.目的を忘れないこと
ファクタリング乗り換えの目的は「ファクタリングを乗り換えること」ではなく、毎月、手元に残るキャッシュを増やして、「ファクタリングを利用しない正常の状態に戻すこと」です。
ファクタリング手数料が安いと言っても、継続利用してしまえば、年率換算での負担は、ビジネスローンの5倍、10倍のコスト負担なのです。早期に解消することが重要です。
「ファクタリング会社の乗り換えのメリットデメリットを教えてください。」
「乗り換えでおすすめのファクタリング会社はどこですか?」