ファクタリングというサービス自体は、欧米では一般的でも、日本では浸透していないためネガティブな情報が多いように見受けられます。また、一部のファクタリング会社が逮捕されたというニュースも事実です。これらの「闇金/悪徳業者を回避する方法」について解説します。
「ファクタリング会社=闇金」ではない!
まず理解しておかなければならないのは
「ファクタリング」というサービスは、
というメガバンクの子会社も提供しているサービスであって
世界的には年々利用が拡大している企業の資金調達方法なのです。
ファクタリング取引高の推移
その理由を解説します。
「ファクタリング会社=怪しい」と思われている理由
これが大きな理由だと思われます。
CMをバンバン流している会社が「2社間ファクタリング」の提供をしていれば、世間的なファクタリングに対する知名度も増えるのですが、そうではありません。
前述した
も、3社間ファクタリングや国際ファクタリング、保証ファクタリングが主流であり、2社間ファクタリングは取り扱っていないのです。
なぜ、大手企業が2社間ファクタリングに参入していないのか?
です。
貸金業法には
貸金業法 第2条(定義)
この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。
という定義があります。
- 金銭の貸付け(融資やローン)
- 手形割引
- 売渡担保その他これらに類する方法
は「貸金ですよ。」と定義されています。
ここに「ファクタリング(売掛債権譲渡)」は含まれていないのです。
「貸金」として定義されたサービスの場合は
貸金業法 第十二条の八
貸金業者は、その利息(みなし利息を含む。第三項及び第四項において同じ。)が利息制限法(昭和二十九年法律第百号)第一条に規定する金額を超える利息の契約を締結してはならない。
前項に規定する「みなし利息」とは、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもつてするかを問わず、金銭の貸付けに関し債権者の受ける元本以外の金銭(契約の締結及び債務の弁済の費用であつて、次に掲げるものを除く。)のうち、金銭の貸付け及び弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料その他の債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるものを除いたものをいう。
という法律があるため
利息制限法の
- 元本が10万円未満の場合:年20.0%
- 元本が10万円以上100万円未満の場合:年18.0%
- 元本が100万円以上の場合:年15.0%
を超える金利は「諸費用」を含めて、取ってはいけないのです。
「ファクタリング(売掛債権譲渡)」が「貸金」だったとしたら・・・
となりますが、現時点では
「ファクタリング(売掛債権譲渡)」が「貸金」の定義から外れているため・・・
のです。
急に、金融庁(財務局)の方針が変わって
と言われてしまうと、そもそもの本業に多大な影響を及ぼしてしまうため、参入したくても、できないのです。
結果として
- 知名度のない会社
- 社員数が少ない会社
- 資金調達コンサルタント会社
- 起業して間もない会社
が2社間ファクタリングサービスにどんどん参入するので
「ファクタリング会社=怪しい」と思われてしまうのです。
ファクタリング利用時に闇金業者/悪徳業者を回避する方法
その1.売掛債権担保融資に勧誘してきた業者とは取引してはいけない!
そうです。
ファクタリング会社が貸金業法違反で逮捕された。
というニュースがありました。
2017年1月25日:債権買い取り装い高利貸し 大阪府警、東京の2業者8人を逮捕
出典:産経新聞
この逮捕のニュースで「ファクタリング会社=闇金」と勘違いしている方も多いのですが・・・
注目すべきは
ファクタリングを装いながら、実態は売掛債権を担保に高金利で金を貸し付けていたとみて、出資法違反(超高金利)容疑でも捜査する。
という部分です。
のことであって、
ファクタリング(売掛債権買取)ではない
のです。
ここは想像にすぎませんが・・・
ファクタリングで興味を持ったお客さんに対して
と言葉巧みに「ファクタリング(売掛債権買取)」→「売掛債権担保融資(売掛債権担保ローン)」に誘導したのだと思われます。
闇金業者にとっても
- ファクタリング(売掛債権買取) → 1回の取引だからうまみがない
- 売掛債権担保融資(売掛債権担保ローン) → ずっと利息を取れるから狙い目
と考えているのです。
闇金業者は、利息制限法以上の利息を取り続けることを目的としているため、なんとか「ファクタリング(売掛債権買取)」→「売掛債権担保融資(売掛債権担保ローン)」に誘導したかったのです。
逆に言えば
- 「売掛債権担保融資(売掛債権担保ローン)」の勧誘してきた業者とは取引してはいけない!
- 「売掛債権担保融資(売掛債権担保ローン)」の契約でなく、「ファクタリング(売掛債権買取)」であれば優良業者の可能性が高い。
と言えます。
その2.最低3社の相見積もりを絶対に取ろう!
ファクタリング(売掛債権買取)は
- 赤字決算でも
- リスケ中でも
- 銀行融資の審査に断られた会社でも
売掛先の信用力が高ければ、審査に通る可能性が高い資金調達方法です。
どのファクタリング会社であっても、ある程度審査に通るのであれば
という方法を取るべきです。
そして、これが悪徳業者や闇金業者を排除する方法の一つとなります。
悪徳業者や闇金業者の場合は
- 買取のファクタリング手数料の見積もりを出してこない。
- 見積もりの項目が大雑把なものしかない。
- 見積もりをするための資料を要求してこない。
- 見積もりを出せないという。
・・・
とにかく、見積もりをきちんと出してこないのです。
「3社も、4社も、申込むのは面倒くさい。」
と、手間を惜しんで、悪徳業者や闇金業者にあたったら元も子もありません。
優良業者と言えども、中小企業レベルであり、大手企業のように知名度のある会社はいないのですから、ある程度手間をかけないと悪徳業者や闇金業者を回避することはできないのです。
その3.ファクタリング契約書は一旦持ち帰る!
最後の砦は「契約書」です。
ここにサインしてしまうと・・・後から「やっぱり、やめた。」は通用しません。
資金調達までの猶予がなかったとしても
- 面談のその場では契約しない。
- 1日、時間を空ける
- 面談の前に契約書のひな形をもらっておく。
などの行動をとって、「契約書を冷静に確認する時間」を確保しましょう。
ファクタリングの契約書には
- 契約日
- 債権者
- 債務者
- 債権額
- 買取額
- 債権の発生原因
- 弁済の期日
- ファクタリング手数料
- 入金期日(買取期日)
が必ず記載されています。
※本契約書と別に「覚書」や「個別契約書」に上記の内容が記載されていることもあります。
契約内容を自分で確認した上で、契約をする
という当たり前のことが、悪徳業者や闇金業者を回避するためには重要なことなのです。
面談のその場でファクタリング会社の担当者が、契約書の重要事項を説明してくれるケースもありますが・・・
相手が主導で説明されて、相手がいる場所だと、巧みに誘導されてしまうリスクもあります。
「一旦、持ち帰る」
これが悪徳業者や闇金業者を回避する方法の最後の砦なのです。
補足.ファクタリング手数料、事務手数料などの費用を公開しているファクタリング会社の方が信頼性は高い
これは絶対というわけではありませんが
基本的に
ファクタリング会社の優良業者は
- ファクタリング手数料
- 事務手数料
- 審査事務手数料
- 掛け目
等の情報をウェブサイト上で公開しています。
ファクタリング手数料は、売掛先の信用力によって変って来てしまうため
○○%~△△%
という表現しかできませんが、それでも公開しているファクタリング会社も多いのです。
- ファクタリング手数料
- 事務手数料
- 審査事務手数料
- 掛け目
の情報をウェブサイト上で公開しているファクタリング会社であれば
その条件に外れたファクタリングサービスの提供もできませんし、
ファクタリングを無理やり売掛債権担保ローンに誘導することもやりにくいので
ということが言えます。
絶対ではありませんが、ファクタリング会社の信頼性を推し量る一つの指標だと考えることができます。
さらに言えば
ファクタリング手数料を
○○%~
と下限だけで示しているファクタリング会社と
ファクタリング手数料を
○○%~△△%
と下限と上限ともに示しているファクタリング会社で比較すれば
まとめ
「ファクタリング会社=怪しい」と思われてしまう理由は
- 貸金業法が「ファクタリング(売掛債権買取)」を「貸金なのか?貸金でないのか?」明確に定義していないため、大手企業は本業への影響を回避するために2社間ファクタリングに参入できない。
結果として
- 2社間ファクタリングを提供するファクタリング会社は、社員数10名~20名程度の中小企業ばかり
ということに起因しています。
社名を知らない会社が多いことから、「ファクタリング会社=怪しい」と思われてしまうのです。
ファクタリング利用時に闇金業者/悪徳業者を回避する方法には
- その1.売掛債権担保融資に勧誘してきた業者とは取引してはいけない!
- その2.最低3社の相見積もりを絶対に取ろう!
- その3.ファクタリング契約書は一旦持ち帰る!
- 補足.ファクタリング手数料、事務手数料などの費用を公開しているファクタリング会社の方が信頼性は高い
というものがあります。
この手順をしっかり踏んで、ファクタリング会社を見極めれば、闇金業者/悪徳業者にあたる可能性は99.9%ないといっても過言ではありません。
そもそも、1回の取引で終わってしまう「ファクタリング」は、闇金業者/悪徳業者にとっておいしい商売ではないのです。
正しい手順でファクタリング会社を比較して、優良業者とファクタリング取引をしましょう。
「ファクタリング会社が闇金で捕まった。ってニュースを見たんだけど、どうやれば避けられるの?」
・・・