ファクタリングのお金の流れを理解していない方も多くいるようです。今回は、ファクタリングの支払の流れ・支払い条件・支払期日についてわかりやすく解説します。
ファクタリングの支払の流れ
ファクタリングサービスの一般的な支払の流れは
3社間ファクタリング
- ファクタリング契約(売掛先への通知・売掛先からの承諾)
- ファクタリング会社からファクタリング手数料を除いた買取金額の入金
- 売掛先から、直接ファクタリング会社に譲渡した売掛債権の入金
2社間ファクタリング
- ファクタリング契約(+回収代行契約)
- ファクタリング会社からファクタリング手数料を除いた買取金額の入金
- 売掛先から、ファクタリングを利用した会社に入金
- ファクタリングを利用した会社がファクタリング会社に入金
という流れになります。
3社間ファクタリングと2社間ファクタリングのお金の流れの大きな違いは・・・
です。
3社間ファクタリングの場合
3社間ファクタリングの場合は、事前に売掛債権の譲渡通知書が売掛先に届いています。その書類に入金先のファクタリング会社の口座情報が掲載されており、承諾していることが前提ですので、売掛先はファクタリング会社の口座へ入金するのです。
2社間ファクタリングの場合
2社間ファクタリングの場合は、売掛先は「自社の債権が譲渡されたこと」を知りません。そのため、今まで通りに商品やサービスを納入してくれた会社(ファクタリングを利用する会社)に売掛金をいつも通りに入金するのです。
売掛先から「ファクタリングを利用する会社」に入金された売掛金というのは、ファクタリング会社へ譲渡済みの売掛金です。そのため、「ファクタリングを利用する会社」は、売掛金の入金を確認したら、速やかにファクタリング会社に送金しなければならないのです。
そのために「回収代行に関する契約書」を「ファクタリング契約書」と同時にファクタリング会社と交わしているのです。
あくまでも、「ファクタリングを利用する会社」は、「ファクタリング会社」の回収を代行しているという仕組みになっています。
2社間ファクタリングの支払の流れの例
- 7月末に100万円分の商品を納品
- 売掛先の支払いサイトは「末締め翌々末支払い」=9月末支払
- 8月10日に資金繰りが悪化したためファクタリング会社に100万円の売掛債権を買取依頼
- 1営業日後の8月11日に審査通過し、ファクタリング会社とファクタリング契約
- 8月11日の契約後すぐに、「ファクタリング手数料:10%」を除いた「買取額:90万円」が入金される
- 9月30日に売掛先から100万円の入金がある
- 10月15日までにファクタリング会社に100万円を振り込む
- ファクタリング取引が完了
となります。
このファクタリング取引の場合は
9月末に支払われる予定の100万円の売掛債権を8月11日に90万円で買い取ってもらう。
10万円損をしたけど、約50日前に売掛金を手にすることで資金繰りが楽になる
という取引になります。
2社間ファクタリングですので、売掛先は、自分の債務が譲渡されたことを知らずに、そのまま10月末に100万円を入金してくるため、回収代行の契約どおりに、そのままファクタリング会社に振り込まなければならないのです。
ファクタリング手数料っていつ支払うの?
- 売掛債権額:500万円
- ファクタリング手数料:10%
の場合は、
となります。
このほか
- 審査事務手数料
- 債権譲渡登記費用(登録免許税)
- 司法書士報酬
- 印紙代
などが発生するファクタリング会社で、10万円かかるとすれば
債権譲渡時にファクタリングを利用する会社が受け取る金額は
となるのです。
最短即日の買取ができるファクタリング会社の場合には、依頼した日には440万円が受け取れることになります。
債権譲渡時にファクタリングを利用する会社が受け取る金額を増やすためには
- できるだけファクタリング手数料が安いファクタリング会社に申し込む
- 事務手数料や諸費用が発生しないファクタリング会社に申し込む
ことが必要になります。
取引先から入金された売掛金をファクタリング会社に支払う期日は?
2社間ファクタリングの場合は、すでに譲渡済みの売掛金がそのままファクタリングを利用する会社の口座に入金されます。
このときファクタリングを利用する会社は、速やかにファクタリング会社に入金された売掛金を振り込む必要があります。この売掛金はすでに譲渡したものだからです。
あくまでも、売却済みのお金ですので、速やかにファクタリング会社に支払わなければなりません。期日といては、10日~15日以内と設定されていることが多いようです。これは「ファクタリング契約書」もしくは「代金回収代行の契約書」に記載されています。ファクタリング会社からも、契約時に口酸っぱく、言われるはずです。
2社間ファクタリングでは、このお金を使い込むトラブルが多い!
2社間ファクタリングでは、売掛先に「債権譲渡」を知らせていないために、納入企業(ファクタリングを利用する会社)の口座に売掛金が入金されます。
この売掛金は、すでに譲渡済みであり、登記されていて、売却額はすでにファクタリング会社から受け取っているものです。
当然、速やかにファクタリング会社に振込をしなければならないのですが・・・
他人のお金であることが登記されていて、契約書もあるのですから、「横領罪」になってしまいます。ファクタリング会社も慣れているので、すぐに訴訟になってしまいます。
2社間ファクタリングで売掛先から入金された売掛金は、出来心も発生しないうちに、速やかにファクタリング会社に振り込む方が無難なのです。
ファクタリング会社の中には、これを防ぐために売掛先から入金する別の銀行口座を契約時に作ってもらい、引き出しができない状態にするなどの防止策を取るところもあるぐらいです。出来心では済まされないのです。
「掛け目」がある場合の支払はどうなるの?
ファクタリング会社の中には
- 「掛け目」を設定するファクタリング会社
- 「掛け目」を設定しないファクタリング会社
2パターンがあります。
「掛け目」とは
を言います。
「現金」を担保にするのであれば、担保価値が減ることはほぼありませんので
「掛け目 = 100%」で融資をすることができる
「不動産」を担保にするのであれば、市況によって担保価値が減る可能性があるので
「掛け目 = 70%」で融資をすることができる
となります。
金融機関が融資をする際に「現金」以外の担保は「念のため、ちょっと低く見積もろう」とするのが「掛け目」です。
「掛け目」を設定するファクタリング会社の場合
売掛債権が500万円あったとしても、500万円全額を買い取ってくれないのです。
「掛け目」を設定するファクタリング会社のファクタリング手数料シミュレーション
- 売掛債権額:500万円
- ファクタリング手数料:10%
- 掛け目:90%
の場合
- 買取対象額 = 500万円 × 90% = 450万円
- 買取できない金額 = 500万円 × 10% = 50万円
- ファクタリング手数料 = 450万円 × 10% = 45万円
- 買取時の支払額 = 450万円 - 45万円 = 405万円
その後、売掛先から500万円が入金された場合
- ファクタリング会社へ支払う金額 = 買取対象額 = 450万円
- 余ったお金 = 50万円
となるのです。
「掛け目」を設定しないファクタリング会社のファクタリング手数料シミュレーション
- 売掛債権額:500万円
- ファクタリング手数料:10%
の場合
- ファクタリング手数料 = 500万円 × 10% = 50万円
- 買取時の支払額 = 500万円 - 50万円 = 450万円
その後、売掛先から500万円が入金された場合
- ファクタリング会社へ支払う金額 = 買取対象額 = 500万円
- 余ったお金 = 0円
となるのです。
どちらも、一長一短があります。
一概には言えませんが、一般的に
「掛け目」を設定するファクタリング会社
- 老舗企業
- 優良企業
- ファクタリング手数料が安い
- 3社間ファクタリングを提供しているファクタリング会社が多い
「掛け目」を設定しないファクタリング会社
- 新興企業
- ファクタリング手数料が高い
- 2社間ファクタリングのみを提供しているファクタリング会社が多い
という傾向があります。
ファクタリングの支払条件から見る、ファクタリングの優良会社の見極めポイント
その1.ファクタリング手数料、諸費用、支払条件を契約前に明示してくれるファクタリング会社を選ぶ
前述した通りで、ファクタリングのお金の流れは、それなりに複雑です。
- ファクタリング手数料は、何%なのか?
- 掛け目は、何%になるのか?
- 債権譲渡登記をするのか?
- 債権譲渡登記の登記費用はいくらになるのか?
- ファクタリングの支払期日はいつになるのか?
・・・
細かい条件提示をしてくれるファクタリング会社ほど、信頼できるファクタリング会社と言えます。
悪徳なファクタリング会社ほど、ファクタリング手数料以外の説明がほとんどなく、契約後の買取時に諸費用や手数料を多く、除外して入金してくるのです。
とならないためにも、
- 細かい支払条件
- ファクタリングにかかる諸費用のすべて
を明示してくれて、「買取時にいくら入金されるのか?」のシミュレーションも提示してくれるファクタリング会社をおすすめします。
その2.2社間ファクタリングの支払の仕組みがきちんとしているファクタリング会社を選ぶ
優秀なファクタリング会社ほど、リスクヘッジをきちんとしています。
- 新規で口座を作らせて、そこに入金させるファクタリング会社
は、万が一でも、経営者が使いこんでしまわないような対策をしているのです。
一見、手間が増えるように思ってしまいますが、貸し倒れを防ぐリスクヘッジをしているファクタリング会社ほど、「貸し倒れ」に遭わないので、ファクタリング手数料を下げられるのです。
その3.「面談審査」や「債権譲渡登記」をしているファクタリング会社を選ぶ
「面談審査」
→ 経営者が入金されたお金を使いこまないように経営者自身の資質をチェックする
→ ファクタリングの仕組みを対面で理解してもらう
ために行うものです。
「債権譲渡登記」
→ 債権を譲渡したことを公的に証明してもらう
ために行うものです。
どちらも、やるファクタリング会社と、やらないファクタリング会社があります。
- 来店不要
- 債権譲渡登記無し
というファクタリング会社の方が一見、便利に思えてしまいますが、このようなファクタリング会社は「貸し倒れ」に遭いやすいので、ファクタリング手数料を上げて、バランスを取るしかないのです。
ファクタリングの優良業者・悪徳業者・違法業者を見分けるチェックリスト
まとめ
ファクタリングサービスの一般的な支払の流れは
3社間ファクタリング
- ファクタリング契約(売掛先への通知・売掛先からの承諾)
- ファクタリング会社からファクタリング手数料を除いた買取金額の入金
- 売掛先から、直接ファクタリング会社に譲渡した売掛債権の入金
2社間ファクタリング
- ファクタリング契約(回収代行契約)
- ファクタリング会社からファクタリング手数料を除いた買取金額の入金
- 売掛先から、ファクタリングを利用した会社に入金
- ファクタリングを利用した会社がファクタリング会社に入金
という流れになります。
注意しなければならないのは
- 2社間ファクタリングの場合、一旦、ファクタリングを利用する会社に売掛金が入金されるため、それをファクタリング会社に振り込む手続きが必要になる
ということです。
このときに資金繰りが悪化していると、使いこんでしまう経営者も少なくないのですが、すでに譲渡済みの売掛金は「他人のお金」です。「横領罪」が成立してしまうので、絶対に使いこんではいけません。
ファクタリングの支払条件から見る、ファクタリングの優良会社の見極めポイント
- その1.ファクタリング手数料、諸費用、支払条件を契約前に明示してくれるファクタリング会社を選ぶ
- その2.2社間ファクタリングの支払の仕組みがきちんとしているファクタリング会社を選ぶ
- その3.「面談審査」や「債権譲渡登記」をしているファクタリング会社を選ぶ
ファクタリング契約前の支払い条件の提示を見ても、優良なファクタリング会社か悪徳ファクタリング会社かはわかるものです。条件提示の内容に不明点がある場合は、どんどん質問して、明確な回答が得られないのであれば、他のファクタリング会社を検討しましょう。
「ファクタリングの売却したお金っていつ入金されるの?」
「ファクタリング契約後の売掛金ってどうやって入金するの?」
・・・