ファクタリングの審査

ファクタリングの審査は何を見るのか|公表資料と20社の条件で確かめる

ファクタリングは債権の売買です。だから審査の対象も融資とは違います。金融庁の説明と民法の条文で構造を確かめ、掲載20社が公表している必要書類・買取対象・個人事業主の可否を数え、どこまでが確認できる範囲なのかを示します。

「ファクタリングの審査」を調べる人がまず知りたいのは、ふつう「自社は通るのか」です。ところが、公表されている資料から確かめられるのはそこではありません。確かめられるのは、この取引が債権の売買なので、確認の対象が融資とは違う場所にあるという構造までです。

金融庁はファクタリングを「『ファクタリング』とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。」と説明しています(2026年10月16日確認)。買い取った側が期日にお金を受け取る相手は、申し込んだ事業者ではなく売掛先です。ここが融資と決定的に違います。

この記事では、その構造を民法の条文で確かめたうえで、当サイトが掲載している20社の公式ページから記録できた必要書類、買取の対象になる債権の条件、個人事業主の利用可否を数え直します。先に線を引いておきます。審査に通るかどうかを当サイトは判定しません。20社の公式ページで、通過の基準にあたる数値を公表しているものを確認できていないためです。できるのは、各社が公表している条件を表記のまま並べ、どの項目が公表されていないかを示すことです。

確認する先が違うのは、取引が貸付ではなく売買だから

融資では、貸した側が返してもらう相手は借りた事業者です。だから見るのは、その事業者が返せるかどうかになります。債権の売買では、買った側が受け取る相手は売掛先に移ります。確認の重心も、そちらへ移ります。

金銭の貸付と債権の売買で確認の対象がどこに置かれるかを4つの軸で左右に並べた比較図。左の貸付は、契約の性質が金銭を貸し期限までに返す約束、主に確かめる対象が申込んだ事業者が返せるか(決算・事業の見通し)、支払う義務を負うのは借りた事業者が自分の資金で返済する、取引に関わる相手は貸す側と借りる側の2者で完結する。右のファクタリングは、契約の性質が売掛債権等を期日前に手数料を取って買い取る売買(金融庁の説明)、主に確かめる対象が売る債権と期日に支払う売掛先(その債権が実在するかを含む)、支払う義務を負うのは売掛先が期日に売掛金を支払う(買戻しの定めは別に読む欄)、取引に関わる相手は対抗要件のため売掛先の通知または承諾が関わる(民法第467条第1項)
図1:貸付は返す力を、売買は売る債権と支払う相手を見る契約の性質は金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」の説明、対抗要件と譲渡性はe-Gov法令検索「民法」の第466条第1項・第467条第1項で確認しました(いずれも2026年10月16日確認)。各社の審査基準を示したものではありません。

民法第466条第1項は「債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。」と定めています(2026年10月16日確認)。売掛債権を売ること自体は、法律が認めている行為です。そして民法第467条第1項は「債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。」、同条第2項は「前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。」と定めています(同日確認)。

ここに出てくる「債務者」は売掛先です。買った債権を売掛先に対して主張するには、売掛先が登場します。売掛先へ通知も承諾も求めない方式を選ぶと、この対抗要件を別の形で埋めるか、埋めないまま進めるかという話になります。2社間と3社間で手続きが変わる理由はここにあり、それぞれの流れは2社間ファクタリングとはと3社間ファクタリングとはで扱っています。

金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」のページ冒頭。ファクタリングが事業者の保有する売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービスであり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約であることと、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者の存在が確認されていることが示されている
「債権の売買(債権譲渡)契約」という前提は、注意喚起の冒頭に書かれている(引用)金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」のページ(2026年9月16日取得)。本文で引用した定義の文言は、同じページで2026年10月16日に確認しています。ページの内容および名称の権利は金融庁に帰属します。

貸付との違いを項目ごとに並べた整理はファクタリングと融資の違いにあります。負債になるかどうか、返済義務が残るかどうかという論点は、この記事では繰り返しません。

公表されている必要書類の内訳を数える

各社の審査基準は公表されていません。代わりに読めるのが必要書類です。何を出させるかは、何を確かめようとしているかの手がかりになります。

当サイトが20社の公式ページから記録できた必要書類の記載は9社ぶんでした。うち1社は「審査に必要な書類はたった2点」と点数だけを示していて、品目が分かりません。品目まで公表しているのは8社です。

会社名 公表されている必要書類(表記のまま)
アクセルファクター ①請求書などの売掛金額が確認できる書類、②通帳3か月分の写し、③身分証明書
PAYTODAY 1.代表者様の本人確認書類 2.売却する対象の請求書 3.直近6カ月以上の入出金明細 4.昨年度の決算書
ペイトナーファクタリング ご本人確認書類/請求書
うりかけ堂 ・本人確認書類 ・入出金の通帳(Web通帳含む) ・取引先との契約関連書類(請求書/見積書/基本契約書等)
トップ・マネジメント ご本人様確認書類(運転免許証など)、買取りを希望する売掛債権に関する成因資料(請求書、契約書、発注書など)ほか3点
ベストファクター 本人確認書類(免許証・パスポートなど)ほか
日本中小企業金融サポート機構 口座の入出金履歴(直近3か月分)と、売掛金に関する書類(請求書・契約書など)の2点
Flex Capital 税務申告書類一式(直近2期分)、マネーツリーによる銀行口座連携
ビートレーディング 審査に必要な書類はたった2点

値はいずれも各社の公式ページの表記をそのまま記録したもので、確認日は2026年8月19日です。要約も言い換えもしていないため、文体や番号の付け方がそろっていません。項目ごとの出典URLは会社の詳細ページに会社単位で置いています。

この8社の記載を品目ごとに数えると、偏りが出ます。

必要書類の品目を公表している8社で、どの品目を挙げている会社が何社あるかを示した横棒グラフ。売掛債権の成因資料(請求書・契約書・発注書など)は6社、本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)は6社、入出金の記録(通帳の写し・入出金明細・口座連携)は5社、決算書・税務申告書(直近期の決算書・申告書一式)は2社。母数の8社はアクセルファクター、PAYTODAY、ペイトナーファクタリング、うりかけ堂、トップ・マネジメント、ベストファクター、日本中小企業金融サポート機構、Flex Capital
図2:決算書を挙げているのは8社のうち2社、債権の成因資料は6社母数は、必要書類の品目を公表している8社です(アクセルファクター、PAYTODAY、ペイトナーファクタリング、うりかけ堂、トップ・マネジメント、ベストファクター、日本中小企業金融サポート機構、Flex Capital。いずれも2026年8月19日確認)。社数は各社の記載を当サイトが数えたもので、審査の通過基準ではありません。

請求書や契約書、発注書といった売掛債権の成因資料を挙げているのが6社、本人確認書類が6社、通帳の写しや入出金明細などの入出金の記録が5社です。これに対して、決算書や税務申告書を挙げているのは2社でした(いずれも母数8社)。この2社はPAYTODAYの「4.昨年度の決算書」とFlex Capitalの「税務申告書類一式(直近2期分)」です。

ここから言えるのは、公表されている必要書類の構成が、自社の財務内容ではなく「売る債権が実在するか」と「その債権にお金が入ってきた実績があるか」に寄っているということです。入出金の記録は、過去に同じ売掛先から入金があったことを確かめる材料になります。書類ごとに何を確かめるためのものかは、各社が必ず説明しているわけではありません。この対応づけは当サイトの読み取りであり、各社が公表した審査項目ではありません。

決算書の扱いについてはファクタリングに決算書は必要か、通帳についてはファクタリングに通帳は必要かで、書類ごとに分けて扱っています。書類の全体像はファクタリングの必要書類にまとめました。

買取の対象として公表されている条件は、「確定しているか」に集まる

必要書類と並んで読めるのが、買取の対象になる債権の条件です。20社のうち、この条件を公表しているのは5社でした。残る15社は公式ページで記載を確認できていません。

会社名 公表されている買取の対象(表記のまま)
OLTA クラウドファクタリング 買取対象は、売掛先が法人または官公庁で、入金日と入金額が確定している「確定債権」
日本中小企業金融サポート機構 すでに仕事が完了している売掛金であれば買取対象になります
ジャパンマネジメント 請求が確定している債権、請求後入金待ちの債権。遅延債権・回収不能な債権・虚偽債権は対象外
Mentor Capital 遅滞されていなく、通常の商取引で発生した全ての売掛債権が対象
えんナビ 弊社では最低50万円から買取業務を行わせて頂いております

5社のうち4社が、確定している・完了している・遅れていないという状態を条件に挙げています。残る1社(えんナビ)は金額の下限だけを示していて、状態についての記載はありません。

売掛債権の状態を3つに分け、買取の対象を公表している5社の記載がどう分かれるかを示した分岐図。入金日と入金額が確定している状態にはOLTAの確定債権、日本中小企業金融サポート機構のすでに仕事が完了している売掛金、ジャパンマネジメントの請求が確定している債権と請求後入金待ちの債権が並ぶ。支払が遅れている・回収できない状態にはジャパンマネジメントの遅延債権・回収不能な債権・虚偽債権は対象外、Mentor Capitalの遅滞されていなくという記載が並び、遅れている債権を対象にすると公表している会社は5社の中にない。まだ発生していない注文書などの段階では民法第466条の6第1項により法律上は譲渡できるが、注文書や受注書を買取の対象として公表しているのはビートレーディングとトップ・マネジメントの2社
図3:法律で譲渡できる範囲と、各社が買取の対象として公表している範囲はずれる条文はe-Gov法令検索「民法」の第466条の6第1項(2026年10月16日確認)、各社の記載はOLTA、日本中小企業金融サポート機構、ジャパンマネジメント、Mentor Capital、えんナビの公式ページの表記をそのまま記録しています(2026年8月18日・19日確認)。

注意したいのは、法律のうえで譲渡できる範囲と、各社が買い取ると公表している範囲が同じではないという点です。民法第466条の6第1項は「債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。」と定め、同条第2項は「債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。」と定めています(いずれも2026年10月16日確認)。まだ発生していない債権も、法律上は譲渡できます。

それでも、買取の対象として注文書や受注書の段階を公表しているのは20社中2社です。ビートレーディングが「買取ファクタリング/注文書ファクタリング(将来債権)」、トップ・マネジメントが「見積書・受注書・発注書ファクタリング、オンライン完結型ファクタリングなど」と記載しています(2026年8月18日・19日確認)。注文書を対象とする方式そのものは注文書ファクタリングで扱いました。申込みの前提になる債権側の条件はファクタリングの対象になる売掛金の条件にまとめています。

なお、額面の全額が買い取られるとは限りません。買い取る割合の考え方は掛け目とはで扱っています。

自社が法人か個人事業主かで変わるのは、対抗要件の取り方

売掛先の属性だけでなく、申し込む側が法人か個人事業主かでも手続きが変わります。理由は審査の厳しさではなく、対抗要件を備える手段の違いです。

法務省は債権譲渡登記制度について「債権譲渡登記制度は、法人がする金銭債権の譲渡について、債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための制度です。」と説明し、「登記することができる債権の譲渡人は、法人のみに限定されています。」としています(いずれも2026年10月16日確認)。

法務省「債権譲渡登記制度の概要」のページ。債権譲渡登記の申請先として東京法務局民事行政部債権登録課(東京法務局中野庁舎)の所在地が示され、登記することができる譲渡人が法人のみに限定されていることが案内されている
登記できる譲渡人は法人だけ、と制度の概要ページに書かれている(引用)法務省「債権譲渡登記制度の概要」のページ(2026年9月9日取得)。本文で引用した2つの文言は、同じページで2026年10月16日に確認しています。ページの内容および名称の権利は法務省に帰属します。

つまり、個人事業主が売主になる取引では、この登記という手段が使えません。売掛先へ通知も承諾も求めない方式では、買う側が第三者に対する対抗要件を備える道が狭くなります。これは申込者の信用の問題ではなく、制度の建て方から来る違いです。登記の目的と、行う場合・行わない場合の違いは債権譲渡登記の抹消でも触れています。

では、個人事業主は利用できないのかというと、公表されている記載はその逆です。20社のうち個人事業主の利用について記載を確認できたのは17社で、そのうち16社が個人事業主やフリーランスを対象に含める書き方をしています。利用できないと明記しているのは1社で、Flex Capitalの「個人事業主の方はご利用いただけません」です(2026年8月18日確認)。記載を確認できなかった3社は三菱UFJファクター、みずほファクター、No.1です。

売掛先が法人でない場合についてはOLTAが「買取対象は、売掛先が法人または官公庁で」と条件を示しています。売掛先側の属性が論点になる場面は売掛先が個人事業主の場合で別に扱いました。

譲渡を禁止する特約が契約書に入っているときの扱いは、同じ第466条の第2項以降が定めています。この論点は譲渡禁止特約があるときにまとめています。

「審査が速い」と「審査が甘い」は、別のものとして読む

審査について公表されている数値で、比べられるものがもう一つあります。審査結果の連絡までの目安です。20社のうち10社が公表していて、「最短15分〜」から「最短3営業日」まで幅があります。各社の表記をそのまま並べた比較は審査スピードの比較に置いています。入金までの時間との関係は入金までの日数で扱っています。

ここで混ぜてはいけないのが、速さと通りやすさです。速いことは、提出書類が少ないことや判断の手順が機械化されていることの結果でありえますが、基準が緩いことを意味しません。そして、通りやすさを前面に出す取引には、別に読むべき欄があります。

金融庁は、貸金業に該当するおそれがある場合として「譲渡した債権の回収がファクタリング業者から売主に委託されており、売主が集金できなかった場合に、売主が債権を買い戻すこととされている」場合と、「売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている」場合を挙げています(2026年10月16日確認)。同庁は、受け取る金銭が債権額に比べて「著しく低額である」場合にも注意を促しています。

売掛先が支払えなかったときの負担が売主に戻る形になっていれば、買う側は売掛先の支払能力を厳しく見る必要が薄れます。審査が通りやすいことと、契約書の買戻しや償還請求権の欄が結びついている可能性を、ここで切り離して考えないでください。言葉の意味そのものは償還請求権とはで扱っています。当サイトは、ある取引の実質が債権の売買なのか金銭の貸付けなのかを判定しません。契約条項の効力についての判断は、弁護士などの専門家へご相談ください。

申込みの前に、自分で確かめられること

ここまでの材料から、申し込む前に自分で確かめられることを並べます。どれも当サイトの判定ではなく、公表資料と手元の書面を突き合わせる作業です。

  • 売る予定の債権が、請求済みで入金日と入金額が決まっているか。注文書や見積書の段階なら、その段階を買取の対象として公表している会社か
  • 売掛先が法人・官公庁か、個人事業主か。相手の属性を条件に挙げている会社があるため、先に確かめておく
  • 支払期日を過ぎている債権でないか。遅れている債権を対象にすると公表している会社は、記載を確認できた5社の中にはない
  • 求められている書類が、債権の成因資料・本人確認書類・入出金の記録のどこに当たるか。決算書を求める会社は少数(8社中2社)なので、赤字や業歴だけで諦める前に条件を見る
  • 自社が個人事業主の場合、債権譲渡登記を使えないという制度上の前提を踏まえて、その会社の登記についての記載を読む
  • 契約書の買戻し・償還請求権・売主の支払義務の欄を読む。審査の通りやすさと引き換えになっていないかを確かめる

赤字や税金の滞納がある場合に何が論点になるかは、赤字でもファクタリングを利用できるかと税金を滞納していてもファクタリングは利用できるかで、それぞれ別に扱っています。

この記事で確認できなかったこと

最後に、確認できなかった範囲をそのまま書きます。20社いずれについても、審査の通過基準にあたる数値を公式ページで確認できませんでした。当サイトが各社から記録している項目は、手数料・買取可能額・入金までの目安・審査結果までの目安・契約の型・必要書類・債権譲渡登記・償還請求権・買取の対象・会社概要などで、「基準」という項目はありません。

必要書類の記載を確認できたのは20社中9社、買取の対象の条件は5社です。記載が無いことは、条件が存在しないという意味ではありません。確認できなかったという意味です。確認できなかった項目は、比較表でも「-」と表示しています。並べ方の規則は比較・評価の基準に書いています。

各社の条件はファクタリング会社の比較と会社の詳細ページから、項目ごとの出典と確認日つきで辿れます。情報の出どころの扱いは情報源について、注意していただきたい点は利用前に知っておくことにまとめました。審査の結果や入金の速さを保証する書き方をしない理由は編集方針にあります。

公表内容は改定されます。実際に申し込む段では、出典のページで最新の記載を確かめてください。

この記事の出典

手数料・条件・手続きは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。