ファクタリングの仕組み

ファクタリングの償還請求権とは?ノンリコースとの関係を解説

償還請求権とは、売掛先が支払わなかったときに売主へ請求できる権利です。この定めがあると貸金業に該当するおそれがあるとされる理由を、金融庁の注意喚起と裁判例の整理から確認します。

償還請求権とは、買い取った債権が支払われなかったときに、買主が売主へ支払いを求められる権利です。この権利が契約に付いていると、売掛先が支払わなかった場合の負担は売主(自社)へ戻ってきます。

ファクタリングは債権の売買です。売った以上、支払われないリスクも買主へ移るのが本来の形です。そのため、償還請求権の有無は「本当に売買なのか」を判断する材料になります。

金融庁が問題にしている契約の形

金融庁は、契約書に債権譲渡契約(売買契約)と定められた取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものは、貸金業に該当するおそれがあるとしています。具体例として挙げているのが次の形です。

  • 譲渡した債権の回収(集金)が売主に委託されており、売主が集金できなかった場合に、売主が債権を買い戻すこととされている
  • 同じ場合に、売主自身の資金でファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている
不払いの負担が買主に移る形と、集金できない場合に売主が買い戻す・自己資金で支払う形を対比した図
図1:負担が誰に残るかで、契約の性質が変わる金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2026年8月18日確認)

呼び方は「買戻し」でも「償還」でも同じことです。支払われなかったときに自社が負担するのかを確認してください。

裁判所も実態で判断している

金融庁は、ファクタリングとして行われた取引について、貸金業法の適用が争われた裁判例を紹介しています。適用されないと判断された事案では、業者が償還請求権を有しておらず、売主も債権の買戻しを予定していないことなどから、実質的にも不払いリスクが業者へ移転していると評価できることが考慮されています。

貸金業法が適用されないと判断された事案と、貸付けに当たると判断された事案で考慮された事情を並べた表
図2:裁判例で考慮された事情(金融庁の紹介による)金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」で紹介された裁判例(2026年8月18日確認)

反対に、貸付けに当たると判断された事案では、業者が不払いリスクをほとんど負っていないことや、売主が債権額以上の金額を支払う旨の公正証書を作成していたことなどが考慮されています。

「ノンリコースと書いてある」だけでは足りない

金融庁は、ファクタリングが貸金業に該当するかについて、契約書にノンリコースの規定があるかなどの形式的な要素だけでなく、経済的側面や実態に照らして判断されるとしています。

実際、ノンリコースの規定がありながら、売主が表明保証によって実質的に債務の保証を求められているのに等しいとして、金銭消費貸借契約に該当すると判断された事案も紹介されています。

契約書で見る場所

次の語が出てきたら、その条項の意味を確認してください。読み替えると、負担が誰にあるかが見えます。

償還請求権、買戻し、表明保証、遅延損害金という語を契約書で探し、意味を確認する項目を並べたチェックリスト
図3:契約書で探す4つの言葉金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2026年8月18日確認)をもとに作成

条項の意味が読み取れないときは、署名する前に弁護士へ相談してください。反対の性質を持つ契約についてはノンリコースで扱います。

この記事の出典

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