ファクタリングの仕組み

ノンリコースファクタリングとは?償還請求権なしの意味を解説

ノンリコースは、売却した売掛債権が回収できなくても売主に返済義務が生じないことを指します。金融庁の定義と、規定があっても実態で判断された事例を確認します。

ノンリコースとは、金融庁の説明によれば、売却した売掛債権等が返済不能になっても、売却した事業者に返済義務は生じないことを指します。売掛先が支払わなかった場合の負担が、売主へ戻ってこない形です。

債権を売った以上、その後の不払いリスクは買った側が負う——これが債権譲渡としての素直な形です。民法第466条第1項は「債権は、譲り渡すことができる。」と定めており、売買として成立していれば、権利は買主のものになります。ノンリコースはその形を条項として明示したものだといえます。

ノンリコースが意味すること・しないこと

条件が「ノンリコース」であっても、次の点は変わりません。誤解しやすい部分です。

  • 手数料は発生します。無料になるわけではありません
  • 審査があります。どんな債権でも買い取ってもらえるわけではありません
  • 自分が架空の請求書を出した、二重に譲渡したといった場合の責任までは免れません
回収できなくても返済義務が生じない点と、手数料や審査、虚偽の請求書の責任は変わらない点を対比した図
図1:ノンリコースが指す範囲金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2026年8月18日確認)

規定があっても、実態で判断される

重要なのはここです。金融庁は、ファクタリングが貸金業に該当するかについて、契約書にノンリコースの規定があるかなどの形式的な要素だけでなく、経済的側面や実態に照らして判断されるとしています。

ノンリコースの規定があるものの、売主が債務者の不払いの兆候がないことを表明保証していた事案で、金銭消費貸借契約に該当すると判断されたことを示したケース図
図2:ノンリコースの規定がありながら、金銭消費貸借契約に該当すると判断された事案金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」で紹介された事案(東京地裁令和4年3月4日判決/2026年8月18日確認)

実際に金融庁が紹介している事例では、ノンリコースの規定が設けられているものの、抗弁事由が存在しないこと、支払い停止の状態にないこと、破産手続開始原因が存在しないことなど、債務者に不払いの兆候がないことを売主が表明保証することとされており、売主に債務の保証を求めているのに等しいとして、金銭消費貸借契約に該当すると判断された事案があります。

つまり、「ノンリコースと書いてあるから安全」とは言えないということです。

契約書で照らし合わせる

ノンリコースを名乗る契約書を見るときは、次の3か所を突き合わせてください。

ノンリコース条項、表明保証条項、集金と送金の定めという3か所を突き合わせて確認する項目
図3:ノンリコースを名乗る契約で突き合わせる3か所金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2026年8月18日確認)をもとに作成

判断に迷ったときは

金融庁は、ファクタリングを利用する事業者にも提供する事業者にも、少しでも心配な点があれば法律の専門家である弁護士に相談するなど、違法な取引が行われないよう留意するよう促しています。

反対の性質を持つ条項については償還請求権を、契約全体の確認点は利用前に知っておくことを参照してください。

この記事の出典

手数料・条件・手続きは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。