申込みが通らなかったとき、まず知りたいのは「なぜ落ちたのか」です。ところが、否決の理由がどこまで説明されるかは会社ごとに違い、当サイトは掲載20社の公式ページで、理由の通知について書かれた記載を確認できていません。だから自社の信用を疑い始める前に、分けておきたいことがあります。
ファクタリングは債権の売買なので、買い手が見ているのは、売る債権と、その代金を払う売掛先です。つまり通らなかった原因は、自社の内情だけに集まるわけではありません。売ろうとした請求書そのものの状態、売掛先と支払期日の条件、そして申込先が公表している「そもそも誰のいくらの債権を買うか」という線のどこかで外れている可能性があります。このうち3つめは審査の判断ではなく、申込みの前に自分で確かめられる条件です。
先に当サイトができないことも書きます。通過率にあたる数値を公表している会社を確認できておらず、当サイトも審査の結果や入金の速さを保証しません。手元の案件が通るかどうかを判定することもできません。できるのは、公表されている条件と法令の条文を使って、自分で確かめられる範囲と、問い合わせでしか確かめられない範囲に線を引くことです。
この記事では、まず原因を4つの層に分けます。次に、掲載20社のうち「買取の対象」を記録できた5社の表記から、対象になる債権の状態と対象外とされている状態を並べます。続いて民法第466条と第467条で、譲渡を制限する条項と二重譲渡の扱いを確かめます。最後に、利用者と金額の線で外れていた場合に何が変わるのかを整理します。審査そのものの全体像はファクタリングの審査は何を見るのか、申込み前の準備は審査に通りやすくする方法にあります。ここでは準備のしかたは繰り返しません。
「落ちた」の中には、別の層が4つ混ざっている
同じ「落ちた」という結果でも、どこで外れたのかによって次に動かせるものが変わります。層を分けずに「自社の信用が足りなかった」とまとめてしまうと、次の申込みでも同じ場所で止まります。
分け方は4つです。1つめは売ろうとした債権そのものの状態。2つめは売掛先と支払期日。3つめは申込先が公表している利用者と金額の線。そして4つめが、公表されていない各社の判断です。
重要なのは、1つめから3つめまでは申込みの前に自分で確かめられる一方、4つめは確かめようがないという点です。順番に見ていけば、どこまでが自分で動かせる話なのかが決まります。
このあと、①と②を公表表記で、譲渡の可否を条文で、③を各社の線で確かめます。自社の決算が赤字や債務超過である場合に何が効いてくるのかは債務超過・赤字で審査はどこを見るかで別に扱っています。
公表されているのは合否の線ではなく「どういう状態の債権なら買うか」
当サイトは掲載20社について18項目を記録し、項目ごとに出典URLと確認日を持たせています。そのうち「買取の対象」の記載を公式ページで確認できたのは5社でした。記録した表記をそのまま並べます。
| 会社 | 買取の対象について記録した表記 | 確認日 |
|---|---|---|
| OLTA クラウドファクタリング | 買取対象は、売掛先が法人または官公庁で、入金日と入金額が確定している「確定債権」 | 2026年8月19日 |
| 日本中小企業金融サポート機構 | すでに仕事が完了している売掛金であれば買取対象になります | 2026年8月19日 |
| Mentor Capital | 遅滞されていなく、通常の商取引で発生した全ての売掛債権が対象 | 2026年8月19日 |
| ジャパンマネジメント | 請求が確定している債権、請求後入金待ちの債権。遅延債権・回収不能な債権・虚偽債権は対象外 | 2026年8月19日 |
| えんナビ | 弊社では最低50万円から買取業務を行わせて頂いております | 2026年8月19日 |
5社の表記から読み取れるのは、対象が「請求が確定していて、支払期日がまだ来ていない債権」に寄っていることです。仕事が終わっていない、請求額が固まっていない、支払期日を過ぎている、といった状態は、この線の外側に当たります。えんナビの表記だけは債権の状態ではなく金額の下限で、同じ項目に記録していても性質が違います。
注意したいのは、対象外の状態を列挙していたのが20社中1社だけだったことです。残りの会社は、対象外が無いのではなく、当サイトが公式ページでその記載を確認できませんでした。記載がないことは買い取らないという意味ではありません。記録の作り方は比較・評価の基準に書いています。言い換えると、自分の請求書が対象の外にあるかどうかは、申込先によっては事前に確かめられません。この場合、落ちた原因が債権の状態だったのかどうかは、問い合わせるまで分かりません。どの書類で請求の確定を示すのかはファクタリングの必要書類、売掛債権の側の条件はファクタリングの売掛債権の条件で扱っています。
譲渡を禁じる条項があっても、譲渡そのものは無効にならない
売掛先との基本契約に「債権を第三者に譲渡してはならない」という条項が入っていることがあります。これを理由に断られた、という話が出てくる層です。ここは条文を分けて読む必要があります。
民法第466条第1項は「債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。」と定めています。第2項は「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」としています(2026年10月21日確認)。条項があるから譲渡が無効になる、という形にはなっていません。
ただし、ここで止めると読み違えます。同じ第466条の第3項は「前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。」と定めています。譲渡が有効であることと、代金が買い手のもとへ届くことは、別の項が決めている別の話です。
買い手の立場から見ると、第3項は代金を回収できない場合があるという条文です。だから各社は、譲渡を制限する条項の有無を確認材料として扱います。つまりこの層で断られた場合、原因は「違法だから」でも「自社の信用が低いから」でもなく、その債権が条文上どういう位置にあるかという判断です。条項の読み方と例外は譲渡禁止特約つきの売掛金はファクタリングできるかに、譲渡そのものの手続きは売掛債権の譲渡とはにまとめています。手元の条項がどの条文に当たるかという判断は、弁護士へ確認してください。
同じ債権を2社に出していると、申込先を変えても解決しない
もう1つ、申込先を変えても結果が変わらない層があります。同じ債権をすでに他社へ譲渡している場合です。
民法第467条第1項は「債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。」と定め、第2項は「前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。」としています(2026年10月21日確認)。条文が決めているのは、誰が優先するかの順番です。
したがって、すでに譲渡済みの債権をもう一度売ろうとすれば、後から買う側は優先されない立場に置かれる可能性があります。これは別の会社へ申し込んでも同じ条文の下にあるため、申込先を変えて解決する話ではありません。他社と契約中に別の会社へ申し込む場合の注意点は他社利用中のファクタリング、二重譲渡そのものの問題はファクタリングの二重譲渡、登記の抹消は債権譲渡登記の抹消で扱っています。
利用者と金額の線で外れていた場合は、審査の結果ではない
ここまでは債権の側の話でした。最後の層は、そもそも自分がその会社の対象に入っていたかです。掲載20社のうち、個人事業主が利用できるかどうかの記載を確認できたのは17社で、3社は公式ページで確認できませんでした。そして17社のうち4社は、対象の側を特定した書き方をしています。
| 会社 | 利用者について記録した表記 | 確認日 |
|---|---|---|
| Flex Capital ファクタリング | 個人事業主の方はご利用いただけません | 2026年8月18日 |
| ペイトナーファクタリング | 個人事業主・一人法人向け | 2026年8月18日 |
| labol(ラボル) | フリーランス・個人事業主向け | 2026年8月18日 |
| FREENANCE 即日払い | フリーランス向け金融支援サービス | 2026年8月18日 |
この4社は、線の向きが逆です。Flex Capital ファクタリングは個人事業主の利用を否定しており、残る3社は対象をフリーランスや個人事業主として挙げています(ペイトナーファクタリングは一人法人を含む書き方です)。個人事業主が1社めへ出せば対象の外ですが、法人が残る3社へ出す場合も、公表されている対象として法人は挙げられていません。残る13社の表記は、個人事業主の利用を認める内容で、対象の側を特定した書き方ではありませんでした。個人事業主の条件を横に並べたものは個人事業主向けファクタリングの比較にあります。
金額も同じ構造です。買取可能額の記載を確認できたのは14社で、下限や上限の線が書かれています。えんナビの「弊社では最低50万円から買取業務を行わせて頂いております」のような下限を下回る請求書は、審査に進む前に外れます。公表されている条件がどこまで公表されているかという論点は審査基準はどこまで公表されているかで扱いました。
この層が分かると、動かし方が変わります。入口の条件で外れていたなら、それは審査の結果ではありません。自分の側を変えなくても、条件の合う会社へ出せば結論が変わりうる唯一の層です。条件から候補を絞るならファクタリング会社の比較から入ってください。
落ちたあとに「条件を変えれば買える」と言われたとき
最後に、公表されていない4つめの層です。各社が実際に何をどこまで確認しているかは公表されておらず、当サイトが記録した18項目の中にも、否決の理由や通過率にあたる項目はありません。落ちた理由そのものを、公表されている材料から特定することはできません。売掛先の側が見られる理由は売掛先の信用力はなぜ重視されるのかにまとめています。
そのうえで、断られた直後に気をつけたい形があります。金融庁は、ファクタリングを「法的には債権の売買(債権譲渡)契約」としたうえで、貸金業に該当するおそれがある取引として、売主が債権を買い戻すこととされているもの、売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされているものを挙げています(2026年10月21日確認)。
通らなかったあとに「買戻しを約束するなら買える」「支払えなかったら自己資金で払ってもらう」という条件を示されたら、それは審査が緩い会社ではなく、金融庁が注意喚起している形に近づいた取引です。条件が緩くなったのではなく、取引の性質が変わっています。償還請求権という言葉の意味は償還請求権とは、契約書を渡さない相手の扱いは契約書を渡さない業者で扱っています。給与を対象とする取引は事業者向けのファクタリングとは別物で、給料ファクタリングとの違いのとおり貸金業に当たるとされています。
次に確かめる順番
整理します。落ちた原因は4つの層に分かれ、上の3つは申込みの前に自分で確かめられます。
1つめは債権の状態です。請求が確定しているか、仕事が終わっているか、支払期日を過ぎていないか。公表されている買取の対象を記録できたのは5社で、対象外を列挙していたのは1社でした。2つめは売掛先と期日です。OLTA クラウドファクタリングのように、売掛先が法人または官公庁であることを条件として書いている会社があります。3つめは利用者と金額の線です。個人事業主の可否は17社、買取可能額は14社で記載を確認できました。ここで外れていたなら、審査ではなく対象の話です。
そして4つめは確かめられません。各社の判断は公表されていないため、問い合わせるしかありません。このとき、手数料だけを比べて決めないでください。手数料のほかに登記費用や事務手数料、振込手数料が発生しうるため、下限だけを見ると負担を見誤ります。費用の内訳はファクタリングの手数料とは、公表されている手数料の範囲は手数料が安い会社の比較にあります。
最後にもう一度書きます。この順番を通しても、買い取ってもらえることは保証されません。当サイトは審査の結果や入金の速さを保証せず、公表値は目安として扱っています。資金調達の判断や契約条項の評価は会社全体に関わるため、契約の前に弁護士・税理士など権限のある専門家へ確認してください。審査まわりのほかの論点は審査からたどれます。
この記事の出典
手数料・条件・手続きは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。
- e-Gov法令検索「民法」(第466条・第467条) 公的機関 / 確認日 2026年10月21日
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」 金融庁 / 確認日 2026年10月21日
- ジャパンマネジメント「よくあるご質問」 各社の公式ページ / 確認日 2026年8月19日
- 日本中小企業金融サポート機構「factoru」 各社の公式ページ / 確認日 2026年8月19日
- OLTA クラウドファクタリング 公式サイト 各社の公式ページ / 確認日 2026年8月19日
- Mentor Capital 公式サイト 各社の公式ページ / 確認日 2026年8月19日
- えんナビ「よくある質問」 各社の公式ページ / 確認日 2026年8月19日
- Flex Capital ファクタリング 公式サイト 各社の公式ページ / 確認日 2026年8月18日
- ペイトナーファクタリング 公式サイト 各社の公式ページ / 確認日 2026年8月18日
- labol(ラボル)公式サイト 各社の公式ページ / 確認日 2026年8月18日
- FREENANCE 会社情報 各社の公式ページ / 確認日 2026年8月18日