売掛金・売掛債権

売掛債権の譲渡とは?ファクタリング契約との関係を解説

譲渡契約で決まるのは、権利の移転と対抗要件の備え方です。譲渡制限特約がある場合の扱い、二重譲渡が起きたときの優劣を条文と登記制度から確認します。

売掛債権の譲渡とは、代金を請求する権利を他人へ移すことです。ファクタリング契約の中身は、この譲渡と、その対価の支払いで構成されています。

譲渡そのものは当事者間の合意で成立します。難しいのは、それを売掛先や第三者に対して主張できる状態にする手続きのほうです。

契約で決まること

譲渡契約では、少なくとも次が定められます。金額だけでなく、手続きの分担まで含みます。

譲渡する債権の特定、代金と支払時期、対抗要件の手続き、集金と送金の分担という4項目のチェックリスト
図1:譲渡契約で定められる項目民法第467条・法務省の債権譲渡登記の説明(2026年8月18日確認)をもとに作成

譲渡制限の定めがあるとき

売掛先との契約に「債権を譲渡してはならない」という定めがあることがあります。民法第466条第2項は、譲渡を禁止・制限する意思表示をしたときであっても、債権の譲渡はその効力を妨げられないと定めています。

譲渡制限の定めがあっても譲渡は有効である一方、悪意重過失の譲受人に対しては債務者が履行を拒める場合があることを示した分岐図
図2:譲渡制限の定めがある場合の効果民法第466条第2項・第3項(e-Gov法令検索・2026年8月18日確認)

ただし同条第3項は、譲渡制限の意思表示を知っていた、または重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者が履行を拒むことができるとしています。譲渡は有効でも、支払いを拒まれる可能性は残ります

二重譲渡が起きたときの優劣

同じ債権が複数の相手に譲渡されると、誰が権利者かで争いになります。民法第467条第2項は、通知または承諾は確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができないと定めています。

通知や承諾、確定日付のある証書、債権譲渡登記について、対抗できる相手と使える人を並べた表
図3:対抗要件の備え方と、主張できる相手民法第467条・法務省の債権譲渡登記の説明(2026年8月18日確認)

法人の場合は、法務省が説明するとおり、債権譲渡登記により確定日付のある証書による通知があったものとみなされます。先に対抗要件を備えたかどうかが判断の基準になります。

登記の公示範囲

法務省は、登記事項概要証明書は誰でも交付を請求することができ、個々の債権に関する登記事項の全部を記載した登記事項証明書は、当事者、譲渡された個々の債権の債務者その他の利害関係を有する者のみが請求できると説明しています。債務者のプライバシー保護の観点による区別です。

契約前に確認する項目

譲渡の実務でつまずくのは、たいてい手続きの分担が曖昧なときです。

買取の判断基準は売掛金の買取、制度の全体像は売掛債権を現金化するにはで扱います。

この記事の出典

手数料・条件・手続きは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。