税金滞納

ファクタリングの審査で税金の滞納は分かるのか|証明書の区分で確かめる

滞納そのものを審査項目として公表している会社は、掲載20社の中にありませんでした。滞納の有無は、国税庁が案内する納税証明書の6区分と、日本年金機構の納入証明書・納入確認書で示します。伝わる経路を3つに分けて整理します。

「税金を滞納していることは、ファクタリングの審査で分かってしまうのでしょうか」。結論から書きます。伝わる経路は1本ではなく、自分が出す書類を通る経路と、自分の関与なしに売掛先へ届く経路が別にあります。前者は何をどこまで出すか選べますが、後者は選べません。この2つを混ぜて考えると、打つ手を取り違えます。

先に、この記事が扱わない範囲を書いておきます。滞納していること自体を利用できない理由として定めた公的なルールは、当サイトでは確認できていません。その点と、滞納を放置したときに督促から差押えまで何がどの順で進むのか、申請できる猶予制度があることは税金を滞納していてもファクタリングは利用できるかにまとめました。この記事はその先、審査の過程で滞納の有無がどの書類を通して示されるのかだけを扱います。

材料は3つです。国税庁が案内している納税証明書の区分、日本年金機構が案内している社会保険料の納入証明書と納入確認書、そして掲載20社が公表している必要書類の記載です。読み終えたときに、どの書類を出せば何を示せるのかを自分の言葉で言える状態を目指します。書類の名前を知っていること自体が、相談の場で話が一方的に進まないための手がかりになります。

滞納そのものを審査項目として公表している会社は、20社の中にありませんでした

ファクタリングの審査で何を確かめているかは、各社が公表していません。ですから、公表されているものから逆算するしかありません。そのために読めるのが必要書類の記載です。何を出させるかは、何を確かめようとしているかの手がかりになります。

当サイトが掲載20社の公式ページから必要書類の記載を記録できたのは9社ぶんでした。この9社の表記を読むと、納税証明書や納税の状況を示す書類を挙げている会社は1社もありません。税に関わる書類として名前が出てくるのは、次の2社の表記だけです。

会社名 必要書類として公表されている表記のうち、税に関わる部分 確認日
PAYTODAY 4.昨年度の決算書 2026年8月19日
Flex Capital 税務申告書類一式(直近2期分) 2026年8月19日

いずれも公式ページの表記をそのまま記録したものです。残る7社のうち1社は「審査に必要な書類はたった2点」と点数だけを示していて、品目が分かりません。品目まで書かれている6社の表記に出てくるのは、請求書などの売掛金額が確認できる書類、本人確認書類、通帳や入出金明細といった入出金の記録です。9社ぶんの表記の全文と品目ごとの社数はファクタリングの審査は何を見るのかに並べているので、ここでは繰り返しません。

ここで言葉を厳密に使います。記載が無いことは、求められないという意味ではありません。確認できなかったという意味です。公表されている必要書類は多くの会社で「ほか」「など」と続いていて、実際の提出物が記載の範囲にとどまる保証はどこにもありません。母数も9社で、20社のうち11社は必要書類の記載そのものを確認できていません。各社の記録値と未取得の項目は会社の詳細ページに、項目ごとの出典と確認日つきで置いています。

言えるのはひとつだけです。「納税の状況」という項目を審査基準として公表している会社は、20社の中にありませんでした。これは安心してよいという話ではなく、公表されていないことを前提に、自分の側で書類を用意できる状態を作っておくべきだという話です。審査基準として何が公表されているかという論点はファクタリングの審査基準で別に扱っています。

国税の滞納の有無は、納税証明書のどの区分で示されるのか

「納税証明書を出してください」と言われたときに、まず知っておくべきことがあります。納税証明書は1種類ではありません。国税庁は、請求できる納税証明書を区分に分けて案内していて、区分ごとに証明する内容が違います。

国税庁のタックスアンサー「No.9208 納税証明書の請求」では、次の区分が案内されています(2026年10月22日確認)。

区分 国税庁が示している証明の内容
その1 納付税額等の証明書
その2 「申告所得税及復興特別所得税」または「法人税」の所得金額の証明書
その3 未納の税額がないことの証明書
その3の2 「申告所得税及復興特別所得税」と「消費税及地方消費税」に未納の税額がないことの証明書(個人用)
その3の3 「法人税」と「消費税及地方消費税」に未納の税額がないことの証明書(法人用)
その4 滞納処分を受けたことがないことの証明書
国税庁が案内している納税証明書の6区分を、納付した額や所得金額を示すものと、未納・滞納がないことを示すものに左右に分けて並べた比較図。左にその1の納付税額等の証明書とその2の所得金額の証明書、右にその3、個人用のその3の2、法人用のその3の3、その4の滞納処分を受けたことがないことの証明書が入る
図1:滞納の有無に触れている区分は、6つのうち4つ(その3・その3の2・その3の3・その4)に限られる国税庁「No.9208 納税証明書の請求」に掲載されている区分の名称(2026年10月22日確認)をもとに、当サイトが左右のグループへ振り分けました。グループ分けは区分の優劣を示すものではありません。

この表を一度見ておくと、会話が変わります。「滞納していないことを示してください」という依頼に対応するのは、その3の系列とその4です。その1とその2は、納めた額や所得金額を示す区分で、名称に「未納」「滞納」という語が入っていません。どの区分を出すかで、示せる範囲がそこで決まります。

税目の範囲も区分ごとに違います。その3の2は「申告所得税及復興特別所得税」と「消費税及地方消費税」について、その3の3は「法人税」と「消費税及地方消費税」について、未納の税額がないことを証明するものとして案内されています。法人なのか個人事業主なのかで、名前の挙がる区分が変わります。

国税庁タックスアンサー「No.9208 納税証明書の請求」のページ。請求できる納税証明書の種類として、その1の納付税額等の証明書、その2の所得金額の証明書、その3の未納の税額がないことの証明書、個人用のその3の2と法人用のその3の3、その4の滞納処分を受けたことがないことの証明書が並んでいる
区分の名称を確認した一次情報(引用)国税庁「No.9208 納税証明書の請求」のページ(2026年10月22日取得)。上の表と図1に書いた区分の名称は、このページで同日に確認しています。ページの内容および名称の権利は国税庁に帰属します。

受け取り方にも区分があります。国税庁のe-Tax「納税証明書の交付請求について」では、オンラインで請求する場合の案内として書面の納税証明書と電子納税証明書が並べられていて、書面の納税証明書ではその3(その3の2・その3の3を含む)が枚数×370円と示されています(2026年10月22日確認)。ここで分かるのは、滞納の有無を示す書類は、相手から求められる前に自分で取れるということです。

社会保険料は、証明書と確認書で対象期間が分かれる

資金繰りの相談で先に挙がるのは、国税より社会保険料かもしれません。こちらにも、納入の状況を示す書類が用意されています。ただし区分の分け方が国税とまったく違います。

日本年金機構は、事業所が社会保険料を納入している状況を明らかにする書類として社会保険料納入証明書と社会保険料納入確認書を案内しています(2026年10月22日確認)。分かれ目は証明する内容ではなく、対象になる期間です。原則として直近2年以内の期間について証明が必要な場合は「証明書」、それ以外は「確認書」を申請することとされています。ここでいう直近2年以内は、発行日の属する月の25か月前の月分から、発行日において既に納期が経過した月分までの最大24か月分と説明されています。

証明する人も分かれます。納入証明書は歳入徴収官(厚生労働省年金局事業管理課長)が、納入確認書は年金事務所長が証明するものとして案内されています。さらに、どちらの書類にも一括用と明細用があり、一括用は未納の有無を、明細用は各月の納入額の内訳を証明します。未納があるかどうかだけを示したいのか、月ごとの内訳まで示すことになるのかが、ここで分かれます。郵送で申請した場合は、受付後3営業日程度で発行されると案内されています。

滞納していないことを示す書類の建て方を、国税の納税証明書と社会保険料の納入証明書・納入確認書で比べた軸比較図。書類の名前、区分の数(6区分と2区分)、区分を分ける基準(証明する内容と対象になる期間)、期間と形態の示し方、確認できた費用と日数(370円と3営業日程度)の5つの観点を並べている
図3:国税は証明する内容で6区分、社会保険料は対象期間で2区分という分かれ方をしている国税庁「No.9208 納税証明書の請求」、国税庁 e-Tax「納税証明書の交付請求について」、日本年金機構「納入証明書・納入確認書」(いずれも2026年10月22日確認)に公表されている内容を並べました。国税の側の発行までの日数と、社会保険料の側の費用の金額は、これらのページでは確認できませんでした。

国税の側は「何を証明するか」で区分が分かれ、社会保険料の側は「いつの期間を証明するか」で区分が分かれます。この違いを知らないまま「滞納していない証明を出してください」と言われると、どちらの制度の話なのかが決まらないまま書類を探すことになります。先に、どちらについて聞かれているのかを確かめてください。

滞納が相手に伝わりうる経路は3つあり、選べるのは1つだけ

ここまでは、自分が書類を出す場合の話です。滞納が伝わる経路は、それだけではありません。性質の違う3つに分けて考えると、何を自分で決められるのかがはっきりします。

税金や社会保険料の滞納が伝わりうる3つの経路を、動くのは誰か・相手に見えるもの・自分で選べるかの3軸でレーン状に並べた図。経路Aは自分が証明書を請求して提出する経路、経路Bは決算書や申告書を必要書類として出す経路、経路Cは徴収職員が動き債権差押通知書が売掛先に送達される経路
図2:経路Aだけが自分で選べる。経路Cは自分を通らず、売掛先へ直接届く区分の名称は国税庁「No.9208 納税証明書の請求」(2026年10月22日確認)、差押えの通知の経路はe-Gov法令検索「国税徴収法」第62条(2026年9月8日確認)によります。社数は必要書類の記載を記録できた9社を母数として数えました。各社が実際に何を確認しているかは公表されていません。

経路Aは、自分が納税証明書や納入証明書を請求して出す場合です。このときに相手へ渡るのは、自分が選んだ区分の内容だけです。その3を出せば未納の税額がないことを示し、明細用を出せば各月の内訳まで示すことになります。出す区分も時期も自分で決められるので、3つの経路のうち、ここだけが自分の判断の範囲にあります。

経路Bは、決算書や税務申告書類一式を必要書類として出す場合です。必要書類に決算書や申告書を挙げているのは、記載を記録できた9社のうち2社でした。ただし、ここで止めておかなければならない点があります。当サイトは、それらの書類から納税の状況がどこまで読み取れるのかを、各社が公表した資料で確認できませんでした。何のために見ているのかを各社が説明しているわけではないので、ここでは推測しません。決算書や確定申告書そのものの扱いはファクタリングに決算書は必要かとファクタリングに確定申告書は必要かで、書類ごとに分けて扱っています。書類の全体像はファクタリングの必要書類にまとめました。

経路Cは、売掛金が差し押さえられる場合です。国税徴収法第62条は、債権の差押えは「第三債務者に対する債権差押通知書の送達により行う」とし、差押えの効力は「債権差押通知書が第三債務者に送達された時に生ずる」と定めています(2026年9月8日確認)。ここでいう第三債務者は売掛先です。つまりこの経路では、自分が何かを出すまでもなく、売掛先が差押えの事実を直接知ります。売掛先に知られたくないという前提は、ここで崩れます。通知が必要になる場面と不要とされる方式の違いは売掛先への通知は必要かで扱っています。差押えに至るまでの期限の数え方と、その手前で申請できる猶予制度は税金を滞納していてもファクタリングは利用できるかにまとめました。

優先順位はここから決まります。経路Aの準備より先に、経路Cが始まっていないかを確かめてください。売ろうとしている売掛金が差押えの対象になっていれば、書類を揃える話ではなくなります。

自分で先に取って、現状を書類で確かめる

滞納があるときほど、相手から求められてから慌てて探すことになります。求められる前に、自分で取ってしまうという手があります。

国税の側では、オンラインで請求する場合に書面の納税証明書でその3が枚数×370円と案内されています。社会保険料の側では、郵送で申請した場合の発行までの目安が3営業日程度と案内されています。どちらも、相手の都合に関係なく自分から動ける手続です。取ってみて未納が残っていることが分かれば、それは申込みの前に知っておきたかった情報そのものです。

取ったうえで未納が残っていた場合、資金の手当てと並行して確かめる順番があります。納期限から何か月経っているかを数えること、そして督促状が届いていないか、届いているなら指定された期限はいつかを見ることです。どちらも猶予の申請期限と差押えの時期に直結します。制度の要件と期限は税金を滞納していてもファクタリングは利用できるかに条文と出典つきで書きました。当サイトは税務の個別判断をしません。猶予の申請や個別の滞納の扱いは、所轄の税務署・年金事務所へご相談ください。

「税金の滞納があっても大丈夫」は、契約の中身を説明していない

ここがこの記事でいちばん重要な部分です。滞納があると、選べる相手が少ないように感じます。その感覚そのものが判断を歪めます。

金融庁は、ファクタリングを「事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約」と説明しています(2026年10月22日確認)。そのうえで、貸金業に該当するおそれがある場合として、譲渡した債権の回収が業者から売主に委託されている場合において「売主が債権を買い戻すこととされている」もの、「売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている」ものを挙げています(同日確認)。

「税金の滞納があっても大丈夫」という言葉は、このどちらについても何も説明していません。確かめるのは、売掛先が支払わなかったときの損を最後に誰が負う設計になっているかです。そこが売主のままなら、売買として完結していません。言葉の意味は償還請求権とは、借入との性質の違いはファクタリングと融資は何が違うのかで扱っています。滞納の話と、契約書の買戻しの欄の話を、同じ流れで判断しないでください。別々に読む項目です。

申込みを急いでいるときに確認を省きやすいのは、会社概要です。確認の方法は悪質なファクタリング会社の見分け方にまとめています。当サイトは、ある取引の実質が債権の売買なのか金銭の貸付けなのかを判定しません。契約条項の意味や効力についての判断は、弁護士などの専門家へご相談ください。

書類の名前で話せるようにしておく

最後に、申込みの前に自分で確かめられることを並べます。どれも当サイトの判定ではなく、公表資料と手元の書面を突き合わせる作業です。

確かめること 何のために確かめるのか
売ろうとしている売掛金に差押えが及んでいないか 差押えの効力は、売掛先への債権差押通知書の送達によって生じます。売るという前提が残っているかを最初に確かめるため
聞かれているのが国税か、社会保険料か 国税は証明する内容で6区分、社会保険料は対象期間で2区分に分かれます。どちらの制度の話かで探す書類が変わるため
自分が法人か個人事業主か 未納がないことの証明は、個人用がその3の2、法人用がその3の3として案内されているため
未納の有無だけを示すのか、内訳まで示すのか 社会保険料の書類には一括用と明細用があり、示す範囲が変わるため
納期限から何か月経っているか、督促状が届いているか 猶予の申請期限と、差押えに至る時期の判断に直結するため
契約書に買戻しや、売主自身の資金による支払の定めがないか 金融庁が貸金業に該当するおそれがある場合として挙げている類型に当たらないかを確かめるため

確認できなかった範囲も、そのまま書いておきます。20社いずれについても、審査の通過基準にあたる数値や、納税の状況を審査項目として示した記載を公式ページで確認できませんでした。必要書類の記載を記録できたのは20社中9社です。国税の側の発行までの日数と、社会保険料の側の費用の金額は、今回参照したページでは確認できませんでした。いずれも、存在しないという意味ではなく、確認できなかったという意味です。

赤字や債務超過がある場合に自社の数字がどこへ効くのかは債務超過・赤字でファクタリングの審査はどこを見るかで別に扱いました。各社の条件はファクタリング会社の比較から、項目ごとの出典と確認日つきで辿れます。並べ方の規則は比較・評価の基準、情報の出どころの扱いは情報源について、注意していただきたい点は利用前に知っておくことにまとめました。審査の結果や入金の速さを保証する書き方をしない理由は編集方針にあります。

公表内容と手数料は改定されます。実際に請求・申込みをする段では、出典のページで最新の記載を確かめてください。ほかの論点は審査から辿れます。

この記事の出典

手数料・条件・手続きは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。