銀行融資

銀行融資の審査期間が読めない理由|保証協会が加わる工程と保証料の計算

銀行融資は申込から実行までの日数が公表されていません。信用保証付きの融資では金融機関の融資判断と信用保証協会の審査が別に行われ、保証料は年率の料率と保証期間、返済方法で決まります。工程と費用を公表資料で確かめます。

資金が必要な日が決まっているとき、銀行融資で間に合うかどうかを判断する材料は「審査に何日かかるか」です。ところが、申込みから融資の実行までに何日かかるのかは、公表資料からは決まりません。信用保証を使う融資の流れを案内している全国信用保証協会連合会のページには、段階ごとに何が行われるかは書かれていますが、日数は示されていません(2026年9月27日確認)。

日数が示されないのは、情報が足りないからではありません。工程の中に、自社では決められない判断が複数入るからです。信用保証をつける融資では、金融機関の融資判断とは別に、信用保証協会の審査があります。協会は、審査の過程で訪問や面談を行う場合があるとしています。そこに日程が入れば、その分だけ実行日は後ろへ動きます。

一方で、費用の決まり方は細かく公表されています。信用保証料は年率の料率と保証期間、返済方法から計算され、計算式と計算例まで公開されています。この記事では、工程と費用のうち公表で確かめられる部分を先に固め、そのうえでファクタリングの手数料と同じ「%」で並べてはいけない理由を示します。制度そのものの違いはファクタリングと銀行融資の違いにまとめています。

申込みから実行までの日数は、公表資料に書かれていない

信用保証を使う融資の手続きは、全国信用保証協会連合会が5つの段階で案内しています。申込み、審査、保証承諾、融資実行、返済です。申込みの経路は2つあり、金融機関の窓口で融資を申し込む際に保証の申込手続きも行う形と、各地域の信用保証協会へ出向いて相談したうえで申込書を受け取る形が示されています。

この案内には、各段階で何が行われるかは書かれています。必要書類を金融機関経由で協会へ提出すること、協会が保証を適当と認めたときに信用保証書が発行されること、融資実行の段で信用保証委託契約書を作成して提出すること、返済は返済条件に基づいて金融機関へ行うことです。しかし、当サイトが確認した範囲では、申込みから融資実行までに要する日数は示されていません(2026年9月27日確認)。

そのため、当サイトも「銀行融資は何日で借りられる」という数字を書きません。代わりに決められることが2つあります。工程がいくつあるかと、どこに自社以外の判断が入るかです。この2つが分かれば、資金が必要な日までに余裕があるのかどうかを、自分で見積もれます。融資を断られた場合の考え方は銀行融資を断られたときに、赤字決算のときに見られる対象は赤字でも利用できるかにまとめています。

信用保証がつくと、審査は金融機関と協会に分かれる

信用保証協会は、信用保証協会法にもとづいて中小企業・小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関で、47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)に設置されています。同連合会は、信用保証制度を中小企業・小規模事業者、金融機関、信用保証協会の三者が当事者となる仕組みだと説明しています。

三者が当事者ということは、判断する主体が2つあるということです。金融機関は融資そのものを判断し、協会は保証を引き受けるかどうかを判断します。協会の審査は、金融機関の融資判断とは別の手続きとして行われ、その過程で訪問や面談を行う場合があるとされています。保証が承諾されるまで、融資の実行日は確定しません。

返済できなくなった場合の扱いも公表されています。協会は中小企業・小規模事業者に代わって金融機関へ弁済し(代位弁済)、その後は事業者から協会への返済になります。同連合会はこの回収業務の一部を保証協会サービサーへ委託しているとしています。保証は返済義務を消す仕組みではなく、支払う相手が金融機関から協会へ替わる仕組みです。借入が負債として残る点はファクタリングは借金になるのかでも扱っています。

信用保証付きの融資における申込み・審査・保証承諾・融資実行・返済の5段階と、各段階で案内されている内容、日数が決まらない要因を並べた工程図。申込みは金融機関の窓口で融資と一緒に申し込む経路と協会の窓口で相談して申込書を受け取る経路があり、審査では必要書類を金融機関経由で協会へ提出して協会が訪問や面談を行う場合があり、保証承諾では協会が保証を適当と認めたときに信用保証書が発行され、融資実行では信用保証委託契約書を提出して金融機関が融資を実行し信用保証料を支払い、返済では返済条件に基づいて金融機関へ返済し、返済できないときは協会が代位弁済して以後は協会へ返済することを示している
図1:保証が承諾されるまで、融資の実行日は決まらない工程は全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」の案内にもとづきます(2026年9月27日確認)。同ページに日数の記載はないため、右の列は工程から読み取れる要因を当サイトが整理したものです。

費用の中心は年率の信用保証料。式と計算例が公表されている

信用保証料は、東京信用保証協会の説明では「信用保証をご利用いただく際に中小企業の皆さまにお支払いいただく保証協会利用の対価」です。日本政策金融公庫へ支払う信用保険料や、代位弁済に伴う損失の補填、経費など、制度の運営に必要な費用へ充てられるとされています。同協会は、保証料以外に協会へ支払う費用(調査料、登録料、用紙代、手数料、相談料など)はないとしています。

料率は一律ではありません。全国信用保証協会連合会は、経営状況に応じた9つの料率区分から適用されると案内しています。東京信用保証協会は、この9区分を中小企業信用リスク情報データベース(CRD)で確定決算の内容を評価して決めるとしており、責任共有制度の対象となる保証には責任共有保証料率が適用されると説明しています。つまり、自社の決算内容が料率の区分を動かします。

公表されている事項 内容 出典と確認日
料率の区分 経営状況に応じた9つの料率区分。CRDで確定決算内容を評価して決定 全国信用保証協会連合会・東京信用保証協会(2026年9月27日)
小口の上限 1,000万円以下は上限1.55%、500万円以下は上限1.27% 東京信用保証協会(2026年9月27日)
東京都制度融資 信用保証料率の上限を1.49%に抑える 東京信用保証協会(2026年9月27日)
割引 担保を提供した場合0.1%、会計参与の設置登記などの書類提出で0.1% 東京信用保証協会(2026年9月27日)
割増 事業者選択型経営者保証非提供制度を利用する場合は割増 全国信用保証協会連合会(2026年9月27日)
協会へ払う他の費用 調査料・登録料・用紙代・手数料・相談料などはない 東京信用保証協会(2026年9月27日)

計算式も公表されています。東京信用保証協会は、満期一括返済の場合を「貸付金額×信用保証料率×保証期間(月数)/12」、均等分割返済の場合を「貸付金額×信用保証料率×保証期間(月数)/12×分割係数」としています。分割係数は返済回数で変わり、均等分割では2回以上6回以下が0.70、7回以上12回以下が0.65、13回以上24回以下が0.60、25回以上が0.55です。不均等分割の場合はそれぞれ0.77、0.72、0.66、0.61とされています。

同協会が載せている計算例では、貸付金額1,200万円・信用保証料率年1.15%・保証期間24ヶ月のとき、満期一括返済で276,000円、均等分割24回(分割係数0.60)で165,600円になります。7ヶ月目から返済する据置期間つきで保証期間60ヶ月の例では410,550円です。同じ金額を借りても、期間と返済方法で保証料は変わります。年率の料率を月数で計算するためです。

貸付金額1,200万円・信用保証料率年1.15%のときの信用保証料を返済方法別に並べた棒グラフ。満期一括返済で保証期間24ヶ月は276,000円、均等分割24回で保証期間24ヶ月かつ分割係数0.60は165,600円、7ヶ月目から返済する据置期間つきで保証期間60ヶ月かつ分割係数0.55は410,550円であることを示している
図2:同じ1,200万円でも、期間と返済方法で保証料は3つの額に分かれる東京信用保証協会「信用保証料の計算例」に掲載されている数値です(2026年9月27日確認)。年1.15%はこの計算例の料率で、どの利用者にも当てはまる率ではありません。利息はこの金額に含まれていません。
東京信用保証協会「信用保証料の計算例」のページ。信用保証料を貸付金額×信用保証料率×保証期間(月数)÷12×分割係数で計算することと、分割返済回数に応じた均等分割係数・不均等分割係数の表が示されている
計算式と分割係数が公表されている一次情報(引用)東京信用保証協会「信用保証料の計算例」のページ(2026年9月27日取得)。本文の計算式、分割係数、3つの計算例の金額は、このページで確認しています。料率や係数は信用保証協会ごとに定められています。ページの内容および名称の権利は同協会に帰属します。

保証の枠と、金融機関に残る負担

保証には枠があります。全国信用保証協会連合会は、普通保険を2億円(組合4億円)、無担保保険を8,000万円とし、合計で2億8,000万円(組合4億8,000万円)と案内しています。別枠の保証に係る限度額が設けられている場合もあるとされています。対象にならない業種もあり、農業、林業(素材生産業および素材生産サービス業を除く)、漁業、金融・保険業(一部の金融・保険業を除く)は保証の対象外です。

保証がついても、金融機関の負担がゼロになるわけではありません。同連合会は責任共有制度を2つの方式で説明しています。部分保証方式は個別貸付金の80%(一部の保証を除く)を協会が保証する形、負担金方式は保証の時点では100%保証だが、代位弁済の状況に応じて金融機関が協会へ負担金を支払う形です。金融機関に負担が残るため、融資の判断は保証の審査とは別に行われます。

協会の側にも保険があります。代位弁済額の70〜90%(この率を保険填補率といいます)が、保険金として株式会社日本政策金融公庫から協会へ支払われるとされています。制度を支える段が重なっているぶん、確認する主体も増えます。ここが、工程の数と日数の読みにくさに直結しています。

公表されている事項 内容
普通保険の限度額 2億円(組合4億円)
無担保保険の限度額 8,000万円
合計の限度額 2億8,000万円(組合4億8,000万円)
責任共有制度(部分保証方式) 個別貸付金の80%(一部の保証を除く)を協会が保証
責任共有制度(負担金方式) 保証時点は100%保証。代位弁済の状況に応じて金融機関が負担金を支払う
保険填補率 代位弁済額の70〜90%を日本政策金融公庫から協会が受領
保証の対象外 農業、林業(素材生産業および素材生産サービス業を除く)、漁業、金融・保険業(一部を除く)

出典はいずれも全国信用保証協会連合会「ご利用条件」および「信用保証制度を支えるしくみ」です(2026年9月27日確認)。

ファクタリングの手数料と、同じ「%」で比べない

融資を待てないと感じたときに、売掛債権の売却が候補に入ります。そのとき最初に起きる間違いが、保証料率とファクタリング手数料を同じ「%」として引き算することです。2つは数え方が違います。信用保証料率は年率で、保証期間の月数と返済方法から計算されます。ファクタリングの手数料は、1回の取引に対する率として公表されています。

当サイトが掲載している20社では、公式ページで手数料の表記を確認できたのは14社でした(2026年8月18日・19日確認)。表記は「一律買取額の10%のみ」(labol)、「手数料率 1〜9.5%」(PAYTODAY)のように、1回の買取に対する率として書かれています。ここに保証期間のような月数は出てきません。売掛金の支払期日までの長さが1ヶ月でも2ヶ月でも、公表されている率は同じ形で示されます。

そのため、年率へ直すには支払期日までの日数を自分で置く必要があります。当サイトは、その換算の結果を「どちらが安い」という形で示しません。置いた前提によって答えが変わり、しかも前提は取引ごとに違うからです。額面からいくら引かれるのかという計算そのものは手数料の計算方法に、手数料以外に発生しうる費用はその他の費用にまとめています。

費用の全体像を比べるなら、公表の粒度も見ておく必要があります。保証料については、協会へ支払う他の費用がないことまで公表されています。一方、掲載20社のうち手数料以外の費用の記載を確認できたのは4社でした。入金までの目安を公表しているのは16社です。会社ごとにどのページで何を確認できたのかは会社の詳細ページに、条件をそろえた一覧は会社の比較に載せています。

信用保証付きの融資とファクタリングについて、率の単位、かかり方、ほかの費用、公表の状況を左右に並べた比較図。信用保証料は年率で経営状況による9区分、保証期間の月数と返済方法の分割係数で変わり、協会へ支払う調査料や登録料などはなく、別に金融機関へ支払う利息がかかる。ファクタリングの手数料は1回の取引に対する率で、支払期日までの長さは率に現れず、手数料以外の費用の記載を確認できたのは20社のうち4社、手数料の表記を確認できたのは20社のうち14社であることを示している
図3:年率で数える費用と、1回で数える費用は、そのまま引き算できない左は全国信用保証協会連合会と東京信用保証協会の公表(2026年9月27日確認)、右は当サイトが20社の公式ページから記録した表記の集計(2026年8月18日・19日確認)です。どちらが安いかを示す図ではありません。

融資を待てないと判断する前に、契約書で確かめる3点

急いで売掛債権の売却へ切り替えるときに、いちばん飛ばされやすいのが契約内容の確認です。金融庁は、ファクタリングを事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービスであり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約だと説明したうえで、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者の存在が確認されているとしています(2026年9月27日確認)。

同庁は、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるものは貸金業に該当するおそれがあるとし、その例として、債権の買取代金が債権額に比べて著しく低額である場合、売主が債権を買い戻すこととされている場合、売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている場合を挙げています。形式だけでなく、経済的側面や実態に照らして判断されるとしています。

この3点は、見積書と契約書の条項を読めば確認できます。融資の審査を待つかどうかとは別の作業で、急いでいるかどうかにも左右されません。買戻しを求められない契約の意味はノンリコースとはに、すでに他社と契約している場合の注意点は他社を利用中に申し込む場合に、入金までの日数の考え方は入金までの日数にまとめています。

この記事で確かめられたこと

  • 信用保証を使う融資の流れは、申込み、審査、保証承諾、融資実行、返済の5段階で案内されています。当サイトが確認した範囲では、申込みから融資実行までの日数は示されていません
  • 申込みの経路は、金融機関の窓口で融資と一緒に申し込む形と、信用保証協会の窓口で相談して申込書を受け取る形の2つが案内されています
  • 協会は審査の過程で訪問や面談を行う場合があるとしています。保証が承諾されるまで融資の実行日は決まりません
  • 信用保証料は「貸付金額×信用保証料率×保証期間(月数)/12×分割係数」で計算されます。料率は経営状況に応じた9区分で、東京信用保証協会はCRDで確定決算内容を評価して決めるとしています
  • 東京信用保証協会の計算例では、1,200万円・年1.15%・24ヶ月で満期一括返済276,000円、均等分割24回165,600円です。同じ金額でも期間と返済方法で変わります
  • 責任共有制度では、部分保証方式で個別貸付金の80%(一部の保証を除く)を協会が保証します。負担金方式は保証時点100%で、代位弁済の状況に応じて金融機関が負担金を支払います
  • 保証料率は年率、ファクタリングの手数料は1回の取引に対する率です。掲載20社のうち手数料の表記を確認できたのは14社で、そのまま同じ「%」として比べられません

融資と売掛債権の売却を並べて考える段階に来たら、ファクタリングと銀行融資の違いで判断の対象がどう変わるのかを確かめてから、会社の比較で条件を絞ってください。

この記事の出典

手数料・条件・手続きは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。