ファクタリング会社の選び方

ファクタリング会社とは|運営しているのは誰で、会社の形で候補は絞れるのか

ファクタリングを提供している会社を、銀行グループ・貸金業の登録あり・どちらもなしの3つに分けて、公的に確認できることの違いを条文で確かめます。掲載20社で設立を記録できたのは14社。会社の形から入らない絞り方をまとめます。

「ファクタリング会社」で検索すると、創業50年を超える銀行の子会社と、設立から数年のオンライン専業の会社が、同じ一覧に並びます。看板に書かれている言葉はほとんど同じで、どちらも「売掛金を期日前に現金化できます」と説明しています。

先に結論を書きます。ファクタリング会社とは、事業者が持っている売掛債権を、支払期日の前に買い取る側の当事者です。金融庁は、一般にファクタリングとは「事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です」と説明しています(2026年11月5日確認)。買い取る側であることは、どの会社も共通しています。

違うのは、その会社について公的に確認できることの種類です。そして、その種類の違いは、手数料や入金までの時間を決めません。銀行グループの会社だから安い、専業だから速いという関係は、公表されている情報の中に見つかりませんでした。

この記事では、運営会社を3つの形に分け、それぞれ何が条文と公的なサイトで確認できるのかを確かめます。そのうえで、当サイトが掲載している20社で会社情報をどこまで記録できているかを数え、会社の形から入らない絞り方の順番まで進みます。所在地で絞れるかという論点は近くにファクタリング会社がないで扱っているので、ここでは「誰が運営しているのか」に絞ります。

買い取ること自体を対象にした登録制度は見つからない

最初に、見分けるための制度が無いことを確かめます。これが分かっていないと、「登録業者を選べばよい」という方針を立てて行き止まりになります。

貸付の側には制度があります。貸金業法は、金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介を業として行うものを「貸金業」と定義し(第2条第1項)、貸金業を営もうとする者は、2以上の都道府県の区域内に営業所または事務所を設置する場合は内閣総理大臣の、1つの都道府県の区域内にのみ設置する場合はその所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならないと定めています(第3条第1項)。金融庁も「貸金業を行うには、財務局又は都道府県の登録を受ける必要があります」と案内し、無登録営業は刑事罰の対象だとしています。

一方で、債権を買い取ること自体を対象にした登録や免許の制度は、確認できませんでした。だから「ファクタリング業の登録番号」を名乗る会社があれば、その登録が何に対するものかを確かめる側に回ります。公的な業者名簿が無いという話はファクタリング会社一覧に公的な名簿はないで詳しく扱っています。

制度が無いことは、何をしてもよいという意味ではありません。金融庁は、ファクタリングとして行われる取引でも「経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものは、貸金業に該当するおそれがあります」としています。判断の材料として挙げられているのは、売主が債権を買い戻すこととされているもの、売主自身の資金により支払をしなければならないこととされているものなどです(2026年11月5日確認)。さらに、個人が使用者に対して有する賃金債権を買い取る「給与ファクタリング」については、業として行うことは貸金業に該当するとしています。個人向けの取引との線引きは給与ファクタリングとの違い、違法とされる取引の形はファクタリングは違法?にまとめています。

つまり、会社を外から見分ける手がかりは、買取そのものへの登録ではなく、その会社がほかに何の免許や登録を受けているか、という周辺情報だけです。ここから形の話に入ります。

運営会社の形は3つに分かれる

当サイトが確認できた範囲では、ファクタリングを提供している会社は次の3つに分かれます。分類の基準は「公的に確認できることの種類」です。事業規模や知名度ではありません。

ファクタリングを提供する会社を、銀行・銀行グループの会社、貸金業の登録を受けた事業者、登録も免許もない事業者の3つに分け、根拠になる制度、公的に確認できること、確認する場所、債権の売買に必要な登録の有無を並べた比較マトリクス。いずれの形でも債権の売買に固有の登録制度は無いことを示している
図1:3つの形で変わるのは「公的に確認できることの種類」だけ金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」「登録貸金業者情報検索サービス ご利用上の注意」、e-Gov法令検索で確認した銀行法第4条第1項・第10条第2項第5号、貸金業法第3条第1項、国税庁「法人番号とは」(いずれも2026年11月5日確認)をもとに作成しました。3つの並びに評価の意味はありません。

1つめは、銀行自身と銀行グループの会社です。銀行法は「銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない」と定めています(第4条第1項)。そのうえで、銀行が営むことができる付随業務の1つとして「金銭債権(譲渡性預金証書その他の内閣府令で定める証書をもつて表示されるものを含む。)の取得又は譲渡」を挙げています(第10条第2項第5号)。銀行が売掛債権を買い取れる根拠は、ここにあります。グループの会社の場合は、銀行そのものではないため、確認できるのは会社概要に記載された株主や出資者です。

2つめは、貸金業の登録を受けている事業者です。登録の有無は金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで調べられます。ただし同庁は、ご利用上の注意として、検索された情報は「各財務局・都道府県がデータの更新処理を行った時点のもの」であり照会日現在のものではないこと、このサービスで検索されない貸金業者は更新処理後に新規登録を行ったか、貸金業法に基づく登録を行っていない無登録業者(いわゆるヤミ金融)である可能性があることを示しています。登録があることは貸付を行える資格であって、買取の条件が良いことを意味しません。無登録の貸付との線引きはヤミ金との違いで扱っています。

3つめは、どちらでもない事業者です。確認できるのは法人としての実在です。国税庁は、法人番号を指定した法人等の基本3情報として「商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地、法人番号」を法人番号公表サイトで公表すると案内しています(人格のない社団等は代表者等が公表に同意した場合のみ)。照合の具体的な手順はファクタリング会社の会社概要を確認する方法にまとめています。

銀行グループであることは資本関係で、条件の保証ではない

ここが、この記事でいちばん伝えたい点です。「銀行系なら安心」という絞り方は、確認できる事実の範囲を超えています。

当サイトが掲載している20社のうち2社は、公式の会社概要に銀行が株主として記載されていました。

項目 三菱UFJファクター みずほファクター
商号 三菱UFJファクター株式会社 みずほファクター株式会社
設立 1977年(昭和52年)6月(創業は1972年(昭和47年)11月) 1977年4月1日
資本金・株主 20億8千万円/株主は三菱UFJ銀行(100%) 10億円(みずほ銀行100%)
事業内容 ファクタリング業務、代金回収業務、でんさい一括ファクタリング業務 国内ファクタリング業務、代金回収業務、国際ファクタリング業務
確認した場所 公式サイトの会社概要(2026年11月5日確認) 公式サイトの会社概要(2026年11月5日確認)

この表から読み取れるのは、資本関係と事業内容が公表されていることです。読み取れないのは、自社の請求書をいくらで、いつまでに買い取ってもらえるかです。

三菱UFJファクターが公表している買取手数料は「どなたでも一律0.8%」ですが、これは診療報酬早期受取オンラインサービスの案内に書かれている率です。同サービスの対象として案内されているのは、審査支払機関へ診療報酬・介護報酬を請求する医科・歯科・薬局・介護事業者です。初期手数料と月額利用料はなしとされています(2026年11月5日確認)。つまり、一般の商取引で発生した売掛金に当てはめられる率ではありません。診療報酬を対象とする取引そのものは診療報酬ファクタリングとはで扱っています。

みずほファクターについては、当サイトが確認した会社概要のページで、手数料、買取可能額、入金までの目安を確認できませんでした。確認できなかった項目は、推測で埋めずに空欄のまま記録しています。

三菱UFJファクター株式会社の公式サイトにある会社概要ページ。商号、設立、創業、資本金、株主といった項目が表形式で並んでいる公式ページであることが分かる
株主と事業内容を確認した一次情報(引用)三菱UFJファクター株式会社「会社概要」のページ(2026年11月5日取得)。本文の表に記録した設立・創業・資本金・株主・事業内容は、このページで確認しています。ページの内容および社名・商標の権利は同社に帰属します。

言い方を変えます。会社概要から分かるのは契約相手が誰であるかで、申込みの判断に必要な取引の条件は別の場所にあります。この2つを分けて読むことが、選び方の最初の作業になります。

法人の種類も、社歴も、揃っていない

形の違いは資本関係だけではありません。当サイトが掲載している20社の商号を数えると、株式会社が19社、一般社団法人が1社でした。

その1社は一般社団法人日本中小企業金融サポート機構です。公式サイトの概要には、設立が2017年(平成29年)5月、事業内容が「資金調達、資本政策、企業の財務及び事業再生等に関するアドバイザリー及びコンサルティング業務」と記載されていました(2026年11月5日確認)。法人の種類は設立の手続や組織の性格を表すもので、買取の条件を決めるものではありません。また、事業内容の欄に書かれている文言が、提供しているサービス名と一致しているとは限りません。

社歴についても、横に並べられるだけの材料が揃っていません。

掲載20社について、所在地は20社、代表者は19社、設立は14社、手数料の範囲は14社で公式ページの表記を記録できたことを0社から20社の目盛りの横棒で並べ、法人の種類が株式会社19社と一般社団法人1社に分かれることを積み上げ棒で示した図
図2:掲載20社で記録できた会社情報の件数(母数は20社)当サイトが各社の公式ページで確認して記録した表記(2026年8月18日・19日確認、手数料など一部の項目は2026年11月3日に再確認)をもとに作成しました。空欄は「公式ページで確認できなかった」という意味で、制度や条件が存在しないという意味ではありません。
記録している項目 記録できた社数 再確認の周期 この項目で分かること
所在地 20社 365日 契約相手の本店または本社がどこにあるか
代表者 19社 365日 会社概要に代表者が記載されているか
設立 14社 365日 公式ページから社歴を数えられるか
手数料の範囲 14社 90日 申込みの前に費用の目安が公表されているか

設立を記録できたのは20社中14社です。残りの6社は、公式ページで確認できませんでした。社歴の長さで候補を並べようとすると、この6社は比較の対象から外れます。母数の2割以上が落ちる並べ方は、順位の形をしていても読者が再現できません。だから当サイトは、会社に点数や順位を付けていません。

当サイトは、会社概要を確認できない事業者を掲載していません。所在地を20社すべてで記録できているのはそのためです。それでも代表者は1社で、確認したページに記載を見つけられませんでした。公表の有無は項目ごとに分かれます。確認できた項目だけを表記のまま並べた一覧はファクタリング会社の比較にあります。

なお、資本関係(親会社や株主)は、当サイトが記録している18項目に入っていません。そのため「銀行グループの会社は20社中何社か」という数え方は、この記事ではしていません。上の表で挙げた2社は、会社概要に株主の記載を確認できた例です。

会社の形から入らず、3つの照合で絞る

では何で絞るのか。公的に確認できるものから順に当てていきます。

運営会社を特定する、貸付を併せて行っているかを調べる、契約の形を公表値で比べるという3つの照合を左から右へ順に行う工程図。1つめで運営会社を特定できなければ次へ進まないことと、手数料や入金までの時間は3つめの公表値と見積りで比べることを示している
図3:会社の形ではなく、確認できることの順に候補を減らす金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」「登録貸金業者情報検索サービス ご利用上の注意」、国税庁「法人番号とは」(いずれも2026年11月5日確認)をもとに、当サイトの確認手順として作成しました。

1つめは、運営会社の特定です。サービス名と商号を分けて書き出し、国税庁の法人番号公表サイトで商号と所在地を照合します。ここで一致しない、あるいは会社概要に所在地・代表者・連絡先が無い場合は、次へ進みません。

2つめは、貸付を併せて行っているかの確認です。登録貸金業者情報検索サービスで登録の有無を調べます。登録がある会社が悪いという話ではありません。確かめたいのは、自分が申し込もうとしている取引が買取なのか貸付なのか、という点です。契約書の表題が「債権譲渡契約」でも、売主が買い戻すこととされていれば、金融庁が挙げている「貸付けと同様の機能」に近づきます。償還請求権の考え方は償還請求権とはで扱っています。

3つめが、契約の形の比較です。2社間か3社間か、売掛先への通知と承諾が要るか、償還請求権があるか、債権譲渡登記を求められるか、手数料以外にどんな費用がかかるか。これらは、会社の形とは無関係に各社で分かれます。手数料以外の費用は手数料以外にかかる費用に、比較の進め方はファクタリング会社の選び方にまとめています。

口コミや評判を材料にしたい場合の注意はファクタリング会社の口コミ・評判、契約前に止まるべき兆候は悪質なファクタリング会社の兆候にあります。

確かめる順番

整理します。ファクタリング会社とは、売掛債権を期日前に買い取る側の当事者で、買い取ること自体を対象にした登録や免許の制度は確認できませんでした。見分ける手がかりは、その会社がほかに受けている免許や登録と、法人としての実在だけです。

運営会社の形は3つに分かれます。銀行は銀行法第4条第1項の免許を受け、第10条第2項第5号で金銭債権の取得または譲渡を付随業務として行えます。貸金業の登録は貸付に対するもので、金融庁の検索サービスで有無を確かめられます。どちらでもない事業者については、法人番号公表サイトの基本3情報が確認できる範囲です。

そして、形は条件を決めません。掲載20社のうち銀行が株主と記載されていた2社でも、一方は診療報酬を対象としたサービスの率を公表し、もう一方は会社概要のページで手数料を確認できませんでした。設立を記録できたのは14社で、社歴で並べると6社が比較から落ちます。

だから順番は、運営会社を特定する、何に対する登録かを分けて読む、契約の形を公表値で比べる、の順です。会社の形は、この3つの入口のうち1つめと2つめを助ける材料として使ってください。

掲載している会社ごとの公表条件はファクタリング会社から、条件別の絞り込みはファクタリング会社の比較から辿れます。契約条項の意味や取引が貸付に当たるかどうかの個別判断は弁護士へ、会計や税務上の扱いは税理士へご確認ください。

この記事の出典

手数料・条件・手続きは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。