手形・手形割引との違い

手形割引の償還請求権とは?ファクタリングとの違いを解説

手形割引では遡求権により、不渡り時に裏書人へ請求が及びます。手形法が定める遡求の要件を確認し、リスクが移転する債権譲渡との違いを整理します。

手形割引で問題になるのは、不渡りになったときに誰が負担するかです。手形法第43条は、満期において支払がないときは、所持人は裏書人、振出人その他の債務者に対してその遡求権を行うことができると定めています。

同法第77条は、支払拒絶による遡求に関する規定(第43条ないし第50条など)を約束手形に準用するとしています。つまり、約束手形でも同じ構造です。

誰に請求が及ぶのか

手形を裏書して譲り渡すと、自社は裏書人になります。所持人は、支払がないときに裏書人へ遡求できます。

満期に支払がない場合、所持人が裏書人や振出人に対して遡求権を行使できることを示した分岐図
図1:支払がないとき、請求はどこへ向かうか手形法第43条・第77条(e-Gov法令検索・2026年8月18日確認)

満期前に遡求できる場合

手形法第43条は、次の場合には満期前でも遡求できるとしています。支払期日を待たずに請求が来る可能性がある、ということです。

  • 引受の全部または一部の拒絶があったとき
  • 支払人が破産手続開始の決定を受けた場合、支払停止の場合、または財産に対する強制執行が効を奏さない場合
  • 引受のための呈示を禁じた手形の振出人が破産手続開始の決定を受けた場合

ファクタリングとの構造の違い

売掛債権のファクタリングでは、買戻しの定めがなければ不払いの負担は買主に移ります。金融庁は、集金できなかった場合に売主が買い戻す、または売主自身の資金で支払うこととされているものについて、貸金業に該当するおそれがあるとしています。

手形割引では遡求が制度に組み込まれている一方、債権譲渡では買戻しの定めが問題視されることを並べた比較図
図2:遡求が前提の取引・負担が移る取引手形法・金融庁の注意喚起(2026年8月18日確認)をもとに作成

手形割引では遡求が制度として組み込まれているのに対し、債権譲渡では負担が戻る形が問題視される——ここが対照的です。

割り引く前に確認すること

手形を割り引く場合は、次を確認してください。

遡求の条件、振出人の状況、割引料、支払えなくなった場合の対応という4項目のチェックリスト
図3:手形を割り引く前に確認する4項目手形法第43条・第77条(2026年8月18日確認)をもとに作成

どちらを選ぶかの判断材料

不渡りの可能性をどう見るかで、選択は変わります。相手の支払いに不安がある場合、遡求のある取引では自社にリスクが残ります。

比較の詳細は手形割引とファクタリングはどっちがいい?、債権譲渡側の条項は償還請求権で扱います。

この記事の出典

手数料・条件・手続きは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。